COCCHi for Automotiveとは スマホ不要の新カーナビ
パイオニアのカーナビアプリ「COCCHi」は2026年11月30日に終了する。後継の「COCCHi for Automotive」は、Google built-in車載機に直接インストールできる新サービスだ。マツダ新型CX-5から始まった仕組みと移行スケジュールを解説する。
スマートフォンをホルダーに固定し、Apple CarPlayやAndroid Autoで車載ディスプレイにカーナビアプリを映す。この数年ですっかり定着した運転前の儀式の一角を、パイオニアのカーナビアプリ「COCCHi(コッチ)」が担ってきた。そのCOCCHiが、2026年11月30日にサービスを終える。
「終了」と聞くと不安になる読者もいるかもしれない。だが、パイオニアがカーナビアプリ事業から退くわけではない。すでに2026年6月30日から、Google built-in対応の車載機に直接インストールして使う新サービス「COCCHi for Automotive(コッチ・フォー・オートモーティブ)」を提供している。スマートフォンを介さず、車両のシステムそのものにナビアプリを入れるという、これまでとは異なるアプローチだ。
COCCHiの終了スケジュールと、COCCHi for Automotiveが実現する新しいカーナビの形を順に見ていく。
COCCHi、2026年11月に終了へ
COCCHiのサービス終了日は2026年11月30日。12月1日以降は、全プランのユーザーがアプリの全機能を使えなくなる。ただし契約プランによって、実際の猶予期間は異なる。
| プラン | 対応 |
|---|---|
| 無料プラン | 2026年9月16日をもって新規受付を終了。同日が最終利用日 |
| 月額払い | 契約満了日まで利用可能。契約満了日は遅くとも2026年10月16日で、返金対象外 |
| 年額払い | 2026年12月1日以降の未消化期間分を返金予定。返金方法は別途案内 |
無料プランの利用者は、他のプランよりも一足先に区切りを迎える点に注意したい。月額払いは契約満了まで使い続けられるが、途中解約しても返金はない。年額払いだけは、使い切れなかった期間分の返金が予定されている。
COCCHi for Automotiveとは何か
COCCHi for Automotiveは、Google built-in対応の車載機に直接インストールして使うクラウド型のカーナビゲーションアプリだ。従来のCOCCHiは、スマートフォンにアプリを入れ、Apple CarPlayやAndroid Autoを介して車載ディスプレイに表示する仕組みだった。COCCHi for Automotiveは、そのスマートフォンを一切使わない。
Google built-inを搭載した車両は、電源を入れれば車両のシステム自体がGoogleのOSで動いている。COCCHi for Automotiveは、そのGoogle Playストアから直接ダウンロードしてインストールする。車内にスマートフォンを持ち込む必要がなく、バッテリー消耗や置き忘れの心配とも無縁だ。
ナビゲーション機能そのものはCOCCHiと共通する。クラウド経由で取得する最新の地図データや渋滞情報と、パイオニア独自のルートテクノロジーを組み合わせ、渋滞を考慮した最適なルートを探索・誘導する。交差点拡大図やハイウェイモードなど視認性に優れた表示と、助手席にナビゲーターが同乗しているような自然な音声案内で、運転をサポートする。
一方で、アプリ・契約・課金はCOCCHiとは別扱いだ。COCCHiのアカウントを持っていれば同じアカウントでCOCCHi for Automotiveにもサインインできるが、利用には別途契約を結ぶ必要がある。
対応車両はマツダCX-5、技術連携の中身
サービスの第一弾として対応するのは、マツダが2026年5月に発売した新型CX-5だ。グレードS・G・Lのすべてに対応し、車両のインフォテインメントシステム「マツダコネクト」上のGoogle Playストアからインストールできる。
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このCX-5への対応は、単にアプリを移植しただけではない。パイオニアはマツダと連携し、車両特性を踏まえたチューニングを行った。パイオニア独自の自車位置測位技術と、車両に搭載されたジャイロセンサーや車速センサーの情報を組み合わせた。これにより、トンネル内や高架下のように衛星信号が届きにくい環境でも、高精度な自車位置表示を実現している。
パイオニアは対応車両について、今後アップデートを通じて順次拡大していく方針を示している。現時点で対応するのはCX-5のみだが、他のGoogle built-in搭載車への展開が今後の焦点になる。
料金とアカウントの扱い
COCCHi for AutomotiveをCX-5で使う場合の料金は、月額700円(税込)だ。支払いはアプリストアでの決済に一本化されており、具体的にはGoogle Playの決済のみとなる。クレジットカードや口座引き落としなど支払い方法自体の設定は、Google Playのアカウント設定から行う。
COCCHiと異なり、COCCHi for Automotiveに無料プランは用意されていない。月払いプランと年払いプランのいずれかを選ぶ有料プランのみで、契約にはパイオニアの共通アカウント「パイオニアID」への登録が前提になる。
すでにCOCCHiや他のパイオニア提供サービスのアカウントを持っている場合、COCCHi for Automotiveでも同一のアカウントを使い回せる。ただし利用にあたっては、COCCHiとは別に契約を結び直す必要がある点は覚えておきたい。
老舗カロッツェリアが車載OSに挑む理由
COCCHi for Automotiveの動きを理解するには、少し時間を巻き戻す必要がある。COCCHiは2026年5月14日、カロッツェリアブランドのサービスへと衣替えしていた。パイオニアが保有するナビゲーションやHMI、車載機器に関する知見とノウハウを生かし、新たな価値を生み出していくための変更だ。同時に、バイク専用ナビアプリ「MOTTO GO」もカロッツェリアブランドのサービスとなり、四輪・二輪を横断するモビリティ全体で移動体験を支える体制が整えられた。
カロッツェリアは1986年に誕生したカーコンポーネントブランドで、1990年には世界初となる市販向けGPSカーナビ「AVIC-1」を送り出した実績を持つ。2026年7月には「日刊自動車新聞 用品大賞2026」でブランディング賞を受賞するなど、40年にわたって積み上げてきた技術力とブランド価値は、今も評価され続けている。
COCCHi for Automotiveは、このカロッツェリアが培ってきたカーナビ開発のノウハウを、スマートフォンを介さない車載OSの時代へと引き継ぐ試みだといえる。
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パイオニアは今後、対応車両の拡大を進める方針だ。加えて、自動車メーカー向けのプリインストール型サービスや、車両の仕様に依存しない汎用ナビゲーションアプリとしての展開も視野に入れていると表明している。Google built-inというプラットフォームが広がるほど、純正ナビとは別の選択肢を求めるドライバーは増えていく。老舗カーナビメーカーがそこでどんな役割を担っていくのか、COCCHi for Automotiveの展開はその試金石になる。
パイオニアが1990年6月に発売した「AVIC-1」は、世界初の市販GPSカーナビゲーションシステムだった。愛称は「サテライト・クルージング・システムユニット」で、ビジュアルコントローラー、ディスプレイプロセッサー、GPSレシーバー、GPSアンテナの4つのユニットで構成され、価格は35万円(税別)だった。GPS衛星からの電波だけで自車位置を割り出すという発想を市販製品として世に問うたのが、この初代機だ。COCCHi for AutomotiveがCX-5との連携で高精度な自車位置測位を実現しているのも、この初代機以来パイオニアが積み重ねてきた測位技術の延長線上にある。
COCCHiを使っている場合、今何をすればいいか
契約プランによって対応が変わる。無料プランは2026年9月16日が最終利用日、月額プランは遅くとも2026年10月16日の契約満了日まで利用できる。年額プランは2026年12月1日以降の未消化期間分が返金される予定だ。乗っている車両がGoogle built-in対応であれば、COCCHi for Automotiveへの移行を検討できる。
COCCHi for AutomotiveはCX-5以外の車種でも使えるか
現時点で動作確認済みの車両はマツダ新型CX-5のみだ。他の車両でもアプリ自体はダウンロードできる場合があるが、動作確認車両以外はサポート対象外となる。パイオニアは今後、アップデートを通じて対応車両を順次拡大していく方針を示している。
既存のCOCCHiアカウントはCOCCHi for Automotiveでもそのまま使えるか
同一のアカウントはそのまま利用できる。ただしCOCCHi for Automotiveの利用には、COCCHiとは別に契約を結び直す必要がある。
この記事について
- 執筆
- ROADECT編集部
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