自動運転レベル0〜5とは 境界線とホンダ・メルセデスの実例で解説
「自動運転」という言葉が指すレベルは0から5まで大きく異なり、レベル2とレベル3の間には運転の責任の所在が変わる高い壁がある。ホンダ・レジェンドやメルセデス・ベンツDRIVE PILOTなど実際に型式認証を取得した市販車を通じて、その境界線と国内外の実用化の現在地を整理する。
新型車のニュースで「レベル2+」「レベル3解禁」という言葉を目にする機会が増えた。しかし、そこで語られる「レベル」が指す範囲は、レベル0からレベル5まで大きく異なる。自動運転という言葉をひとくくりに使うと、クルマが実際にできることと読者が思い描くこととの間にずれが生まれる。米国自動車技術会(SAE)が定めた6段階の基準を、運転操作と監視の主体という軸で整理し、実際に市販化された技術を通じてその境界線を確かめていく。
自動運転レベル0〜5とは 何が変わるのか
自動運転のレベルを定めているのは、米国自動車技術会が策定したSAE J3016という国際的な基準だ。日本国内でも自動車技術会がこれに準拠したJASO TP 18004を策定しており、国土交通省もこの枠組みに沿って自動運転車の呼称を整理している。
基準はレベル0からレベル5までの6段階に分かれる。レベル0は運転を自動化する技術がまったく搭載されていない状態を指す。レベル1はアクセルとブレーキ、あるいはハンドル操作のどちらか一方が部分的に自動化された状態で、レベル2になるとこの両方が部分的に自動化される。ここまでは、認知・予測・判断・操作のすべてを運転者が担う「運転支援車」に分類される。
レベル3からは様相が変わる。特定の走行環境条件を満たす限られた領域で、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態がレベル3で、この段階から車両は「自動運転車」と呼ばれるようになる。レベル4は同じく限定領域の中で完全に自動運行装置が運転を担い、装置が対応しきれない場面でも自らその状況に対応し続ける。レベル5になると、その条件の限定すらなくなり、常にシステムが運転を行う。
6段階の違いを一覧にすると、次のようになる。
| レベル | 概要 | 運転操作の主体 | 車両の呼称 |
|---|---|---|---|
| レベル0 | 運転を自動化する技術が搭載されていない状態 | 運転者 | ー |
| レベル1 | アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらか一方が部分的に自動化された状態 | 運転者 | 運転支援車 |
| レベル2 | アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が部分的に自動化された状態 | 運転者 | 運転支援車 |
| レベル3 | 限定された領域で、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(警報時は運転者が対応) | 自動運行装置(警報時は運転者) | 条件付自動運転車(限定領域) |
| レベル4 | 限定された領域で、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(作動継続が困難な場面も装置が対応) | 自動運行装置 | 自動運転車(限定領域) |
| レベル5 | 条件の限定なく、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態 | 自動運行装置 | 完全自動運転車 |
出典: 国土交通省「自動運転車両の呼称」「自動運転関連用語の概説」
レベル2とレベル3の違い 運転の責任は誰にあるか
数字の上ではレベル2からレベル3までひとつしか違わない。しかし、この間には自動運転の歴史のなかでもっとも高い壁がある。レベル2までは常に運転者が周囲を監視し、操作の主体であり続ける。レベル3以上になって初めて、監視と操作の主体がシステム側に移る。
ただし、レベル3の自動運行装置は万能ではない。決められた走行環境条件、いわゆるODD(運行設計領域)を外れる場面や、装置が正常に作動し続けられないおそれが生じた場面では、運転操作を促す警報が発せられる。運転者はこの警報に適切に応答し、ただちに運転を引き継がなければならない。レベル4以上になると、装置が作動を続けられない状況でも装置自身が対応し、運転者への引き継ぎを前提としない設計になる。
つまりレベル2は「運転支援」、レベル3以降は「自動運転」であり、両者は法律上も技術上もまったく別のカテゴリーとして扱われている。この境界を越えるには、センサーを複数系統で二重に備え、型式指定や型式認証といった手続きを経なければならない。ホンダやメルセデス・ベンツが市販化にたどり着くまで長い開発期間を要したのは、この壁の高さゆえだ。
「レベル2+」という呼び方に注意
一部のメーカーは、高機能なレベル2システムを「レベル2+」と呼ぶことがある。しかしSAE J3016が定めるのはレベル0からレベル5までの6段階のみで、「レベル2+」という中間区分は存在しない。ハンズオフ走行ができるからといって、それがレベル3を意味するわけではない。運転操作の責任は、あくまで運転者にあるレベル2にとどまる。
市販車で見る運転支援技術の現在地
レベル3以上の「自動運転車」は、まだ市場に多く出回っているわけではない。それでも、実際に型式指定や型式認証を取得した市販車を見ていくと、レベルの違いが具体的な体験の違いとして見えてくる。
ホンダ・レジェンド 世界初のレベル3型式指定
2020年11月11日、ホンダは国土交通省からレベル3の自動運行装置を備えた車両として、世界で初めての型式指定を取得した。搭載されたのは「トラフィック・ジャム・パイロット」と呼ばれる渋滞運転機能で、高速道路の渋滞など特定の条件下でシステムが運転操作を代わって担う。このシステムを積んだ上位グレード「Honda SENSING Elite」が2021年3月に発売され、100台限定のリース専用車として世に送り出された。
このレジェンドは2022年1月に生産を終えている。世界初のレベル3市販車は、法人向けの色合いが強い先駆けのモデルとして、短い期間で役目を終えた形だ。
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メルセデス・ベンツ レベル3の到達点とその後
メルセデス・ベンツも、レベル3の量産化で世界の先頭を走ってきた1社だ。2023年9月27日、同社は米国でDRIVE PILOTの提供開始を発表した。カリフォルニア州とネバダ州の高速道路のうち渋滞などで交通密度が高い区間に限り、時速40マイル、日本の単位でいえば時速約64キロメートルまでの速度域でシステムが運転操作を代替する。対象はまず台数を限定したEQSセダンで、2024年モデルからはSクラスにも拡大された。
ドライブパイロットは、通常の運転支援用センサーに加えてLiDAR、リアウィンドウ内のカメラ、緊急車両のサイレンを検知するマイク、ホイールハウス内の路面湿潤センサーまでを備える。操舵と制動を担う駆動装置も二重化され、片方が故障してももう片方が運転者への引き継ぎを安全に完了できるよう設計されている。ドイツでは2024年12月に運輸当局が最高時速95キロメートルまでの走行を承認し、米国とは別に速度域の拡大も進んでいた。
ところが2026年1月、メルセデス・ベンツは次期Sクラスでレベル3ドライブパイロットの搭載を見送ると発表した。理由として挙げられたのは、対応できる走行環境の狭さと、採用センサー群のコストの高さ、需要の伸び悩みだ。代わりに投入されたのが「MB.DRIVE ASSIST PRO」と呼ばれる運転支援機能で、高速道路に限られていたレベル3とは異なり、市街地を含む幅広い環境をカバーする。ただしこれもレベル2の枠を出るものではなく、レベル4の完全自動運転は2028年から2030年ごろの次世代Sクラスでの実現が見込まれている。
日産プロパイロット2.0とテスラFSD
レベル3に至らないレベル2の領域でも、技術は着実に進化している。日産のプロパイロット2.0は、高速道路の同一車線を走行しているあいだ、ドライバーが前方を注意し続けている限りハンドルから手を離せるハンズオフ機能を備える。対面通行路やトンネル内、急なカーブ、料金所や合流地点では利用できないなど条件は細かく限定されているが、常に監視と操作の責任を負うのは運転者自身だ。この点で、プロパイロット2.0はあくまでレベル2にとどまる。
テスラのFSD(Supervised)も同様だ。テスラは公式サポートページで「あなたの監督のもとで動作する」「車両を自律走行にするものではない」と明記している。システムの作動にかかわらず、速度と操作の責任は常に運転者にあるという説明だ。興味深いのは、テスラ自身がこのページで「レベル2」という言葉を一度も使っていない点だ。レベル2という分類は、オランダの運輸当局をはじめとする規制当局や業界の評価によるもので、テスラが自ら名乗っている呼称ではない。
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レベル4・5の実用化はどこまで進んでいるか
日本では2023年4月1日に施行された改正道路交通法で「特定自動運行」という制度が新設され、レベル4に相当する自動運転が法的に位置づけられた。事業者は都道府県の公安委員会から許可を得たうえで、遠隔監視を担う人員の配置などを条件に運行できる。
福井県永平寺町 国内初のレベル4移動サービス
2023年5月21日、福井県永平寺町で国内初のレベル4による無人の自動運転移動サービスが始まった。廃線となった鉄道の跡地を転用した自転車歩行者専用道「永平寺参ろーど」の南側、約2キロメートルの区間を、ヤマハ発動機製の車両3台が走行する。路面に埋め込まれた電磁誘導線とICタグを頼りに車両が自分の位置を把握しながら進み、乗員を含めて7人が乗れるこの車両を遠隔監視室から1人が見守る体制だ。その後、東京都大田区の羽田や北海道上士幌町など、全国各地にレベル4の運行地域が広がっている。
政府は「官民ITS構想・ロードマップ2020」で、高速道路でのレベル4自動運転を2025年をめどに実現する目標を掲げていた。しかし2026年時点で、高速道路上でのレベル4自動運転はまだ実現していない。現状のレベル4は、過疎地域や限定エリアでの低速移動サービスが中心となっている。
Waymo 海外に広がるロボタクシー
海外に目を向けると、米グーグルの持株会社アルファベット傘下のWaymoが「完全に自律的な配車サービス」を掲げ、運転者を乗せずに乗客を運ぶロボタクシーを展開している。フェニックスやサンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス、オースティン、アトランタといった都市で運行し、2026年にはダラスやラスベガス、デンバーなど新たな都市への展開も進められている。日本国内では、こうした無人のロボタクシーサービスはまだ実現していない。
レベル0からレベル5までの数字は、ただの技術水準の目盛りではない。運転という行為の責任を、人からシステムへとどこまで委ねられるかという線引きそのものだ。ホンダやメルセデス・ベンツは型式認証という高いハードルを越えてレベル3を市販化したが、メルセデス・ベンツがそのレベル3をいったん手放したように、境界線を越えた先で技術を維持し続けることもまた、それとは別の挑戦だ。次に自分のクルマの運転支援機能を確かめるときは、その数字の裏にある挑戦の大きさにも目を向けてみたい。
メルセデス・ベンツのドライブパイロットは、緊急車両のサイレンを聞き分けるための専用マイクを車内に備えている。カメラやレーダーでは気づけない音の情報まで拾い、緊急車両が近づいたときに安全な対応を取れるようにするためだ。
自動運転レベル2とレベル3の違いは何か
レベル2までは運転操作の主体が常に運転者であり、システムはあくまで支援にとどまる。レベル3からは特定の条件下でシステムが運転操作の主体となり、車両は法律上も「自動運転車」として扱われる。
「レベル2+」というのは正式な自動運転レベルか
正式な区分ではない。SAE J3016が定めるのはレベル0からレベル5までの6段階のみで、「レベル2+」はメーカーが高機能なレベル2システムを表すために使う非公式な呼び方にすぎない。
日本国内でレベル4の自動運転に乗ることはできるか
福井県永平寺町をはじめ、全国の一部地域で無人のレベル4移動サービスが運行されている。ただし対象は決められたルートを走る低速の移動サービスが中心で、高速道路での本格的なレベル4はまだ実現していない。
この記事について
- 執筆
- ROADECT編集部
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