ランドクルーザー300を一部改良 ハイブリッド国内初設定
国内初のハイブリッドを得たランドクルーザー300は、WLTCモード燃費でディーゼル車よりわずかに劣る。燃費ではなく出力とトルクを底上げするという選択の裏側と、GXグレード刷新を含む一部改良の全容を、価格・スペック表つきで解説する。
トヨタは2026年9月16日、ランドクルーザー"300"シリーズの一部改良を発表した。最大のトピックは、ランドクルーザーシリーズとして国内初となるハイブリッドモデルの追加だ。応答性に優れたモーターと3.5Lツインターボエンジンを組み合わせたパラレルハイブリッドシステムを、ZXとGR SPORTの2グレードに新たに設定する。
同時にGXグレードはオフロードでの実用性に特化した仕様へと刷新され、快適装備の充実とボディカラー2色の追加もあわせて実施された。発売は2026年10月1日だ。
ハイブリッド化で燃費より重視したもの
新たに採用されたパラレルハイブリッドシステムは、V型6気筒インタークーラー付ツインターボエンジンのV35A-FTS型と、交流同期電動機の1TMモーターを組み合わせる。エンジン単体の最高出力は300kW(408PS)に達し、モーターの40kW(54PS)と合わせたシステム最高出力は336kW(457PS)、システム最大トルクは790N・m(80.6kgf・m)に及ぶ。3.3Lディーゼルエンジン単体の最高出力226kW(307PS)、最大トルク700N・m(71.4kgf・m)と比べても、出力・トルクともに大きく上回る。
一方でWLTCモード燃費は、ハイブリッドが9.4km/Lと、ディーゼルの9.7〜9.8km/Lをわずかに下回る。特に市街地モードでは、ハイブリッドの6.4km/Lに対しディーゼルが7.4〜7.5km/Lと差が目立つ。ハイブリッド化イコール燃費向上と捉えられがちだが、今回の狙いはそこにはない。
モーターアシストによってオフロードでのコントロール性を高め、オンロードでは伸びのある加速を引き出すことが優先されている。信頼性・耐久性・悪路走破性というランドクルーザーの核心的な価値を損なわずに電動化するという選択が、この燃費数値にも表れている。
電動パワーステアリングもあわせて新採用された。オンロード、オフロードを問わず操縦のしやすさを高め、長時間のドライブでも疲れにくいステアリングフィールを狙った装備だ。
ハイブリッド専用装備が広げる使い勝手
ハイブリッドモデルには専用の外観・装備が用意された。ZXには漆黒メッキ加飾付のフロントエアロバンパーと、漆黒メッキモール付のリヤエアロバンパーが備わり、ディーゼル車との外観上の違いを持たせている。
室内では、電動でリクライニングでき、センタートレイを備えた5:5分割格納サードシートを採用した。荷室を上下2段に分割できるフレキシブルデッキボードは、跳ね上げれば高さのある荷物を積み込め、長尺物にも対応するフラットな空間を確保する。センターコンソールボックス後部とラゲージ左側には、AC100V・1,500Wに対応し非常時給電システムを備えたアクセサリーコンセントが各1個装備された。災害時に車両から給電できる装備で、悪路走破性だけでなく非常時の備えとしての価値もランドクルーザーに加わった。
ディーゼル車のZX・GR SPORTは5人乗り、ハイブリッド車は7人乗りだ。電動格納式のサードシートはハイブリッドモデルの標準装備であり、乗車定員の違いはパワートレインに紐づいた仕様といえる。
GXグレードをオフロード仕様に刷新
GXグレードは、ランドクルーザー本来の魅力をより体現する仕様へと見直された。3.3Lディーゼル車のみの設定で、フロント・リヤに電動デフロックを搭載し、265/65R18サイズのタイヤとシルバー塗装の18×7.5Jアルミホイールを組み合わせる。
外観にはアルミサイドステップと、メッキ加飾付のブラックラジエーターグリルを採用した。室内はファブリックシート表皮に運転席6ウェイ・助手席4ウェイのマニュアルシートとし、メーカーオプションで樹脂製フロアカーペットも用意される。装備を実用本位に絞り込んだ仕様といえる。
全車で広がった快適・安全装備
ハイブリッド化やGXグレードの刷新にとどまらず、全車で快適装備も充実した。おくだけ充電、ITSコネクト、寒冷地仕様、VICS機能付のETC2.0ユニットが全グレードに標準装備される。
ZXとGR SPORTには、以下の装備が新たに標準化された。
- ブラックのルーフレールとクールボックス
- 14スピーカー・12chオーディオアンプ構成のJBLプレミアムサウンドシステム
- リヤシートエンターテインメントシステム
- バックアンダーフロアビュー&両サイドビュー対応のマルチテレインモニター
- デジタルインナーミラー、前後方のドライブレコーダー、タイヤ空気圧警報システム
ボディカラーにはニュートラルブラックとプラチナホワイトパールマイカの2色が加わっている。
なぜランドクルーザー300に電動化が必要だったか
現行のランドクルーザー300は2021年8月に発売され、2025年3月24日にも一部改良を受けている。今回はそれから約1年半ぶりの改良にあたる。
トヨタはランドクルーザーシリーズ全体で刷新を進めており、2026年4月には250シリーズのガソリン車を一部改良し、同年5月には扱いやすいサイズを掲げた派生モデルFJも発売した。
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そうした流れの中で300に投入されたハイブリッドは、燃費という数字ではなく、悪路でのコントロール性とオンロードでの力強さを電動化によって底上げする選択だった。信頼性・耐久性・悪路走破性というランドクルーザーの核心的な価値を守りながら電動化するという難題に、トヨタがどう向き合ったかが、今回の一部改良からは読み取れる。
全5グレードの価格とスペック一覧
| グレード | パワートレイン | 乗車定員 | 価格(税込) | 車両型式 |
|---|---|---|---|---|
| GX | 3.3Lディーゼル | 5人 | 630万800円 | 3DA-FJA300W-GMUGY |
| ZX | 3.3Lディーゼル | 5人 | 875万500円 | 3DA-FJA300W-GMUZY |
| ZX | 3.5Lハイブリッド | 7人 | 980万1,000円 | 5AA-VJH300W-GNVZZ |
| GR SPORT | 3.3Lディーゼル | 5人 | 915万900円 | 3DA-FJA300W-GMUSY |
| GR SPORT | 3.5Lハイブリッド | 7人 | 1,020万300円 | 5AA-VJH300W-GNVSZ |
クルマのサブスクリプションサービス「KINTO」では、今回の一部改良を反映したランドクルーザー300シリーズの取り扱いが2026年9月16日から始まっている。正規の発売日である10月1日より半月ほど早く、サブスクからの申し込みだけが一足先に開いた形だ。
ランドクルーザー300ハイブリッドの燃費はどのくらいか
WLTCモード総合燃費は9.4km/Lだ。同じ300系の3.3Lディーゼル車が9.7〜9.8km/Lであるのに対し、ハイブリッドはわずかに下回る。燃費よりも出力とトルクの向上を優先した設計であることがうかがえる。
ランドクルーザー300ハイブリッドの価格はいくらか
ZXが980万1,000円、GR SPORTが1,020万300円だ。いずれも税込価格で、同一グレードの3.3Lディーゼル車と比べると約105万円高い設定になっている。
この記事について
- 執筆
- ROADECT編集部
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