アウディ新型Q9登場 史上最大のフラッグシップSUV
アウディが放つ初のフルサイズSUV「Q9」は、パワートレインが欧州はディーゼル、米国はガソリンV6・V8と市場ごとに分かれる異色の設計だ。曲面デジタルOLEDライトや電動ドアなど、フラッグシップにふさわしい新技術と、性能グレードSQ9の実力を解説する。
アウディは2026年7月29日、ブランド初となる大型フルサイズSUV「Q9」を発表した。ワールドプレミアの舞台はニューヨークで、性能グレードの「SQ9」も同時にデビューしている。全長5,310mmはアウディ史上最大の車体で、型式に「9」を用いるのもブランド史上初めてだ。ドイツでは2026年7月末から受注を開始し、同年第4四半期に納車が始まる。日本での発売時期は、本稿執筆時点で未発表となっている。
アウディ史上初のフラッグシップSUV「Q9」
アウディはこれまで、2006年に発売した「Q7」でSUV市場に参入し、2018年には3列目シートを持たないクーペスタイルの「Q8」を投入してきた。Q9は、この2台よりもさらに上に位置づけられる、アウディ史上初の3列フルサイズSUVだ。
CEOのゲルノート・デルナーは「Audi Q9は、ポートフォリオの新たなフラッグシップとして体現しています」と述べている。米国向けの発表ではさらに踏み込み、多くの顧客にとってクルマは単なる移動手段ではなく、モバイルリビングスペースになりつつあると語った。電動ドアや上質な内装素材へのこだわりは、この考え方をそのまま形にしたものと言える。
車体は全長5,310mm、全幅2,210mm、全高1,810mm、ホイールベース3,140mm。アウディが手がけてきたモデルの中で最も大きい。乗車定員は3列7人乗りが標準で、2列目にパワー調整式のキャプテンシートを備えた6人乗りレイアウトも選べる。生産はスロバキアのブラチスラバ工場が担う。
Q9のパワートレインは欧州と米国で別物
Q9で興味深いのは、パワートレインが市場ごとにまったく異なる点だ。欧州仕様に用意されるのは3.0リットルのV6ディーゼルターボ(TDI)のみで、MHEV plusと呼ばれる48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる。出力は220kW(299PS)/630Nmと180kW(245PS)/500Nmの2段階が設定された。
一方の米国仕様は、2.9リットルのガソリンV6ツインターボ(TFSI)が429馬力・442lb-ft(約599Nm)を発生し、0-60mph加速は4.9秒。さらに上位には、4.0リットルのV8ツインターボで591馬力・590lb-ft(約800Nm)を発揮する性能グレード「SQ9」が控え、0-60mph加速は3.8秒。3列SUVとしてはクラス最速の加速性能をアウディは謳う。
SQ9には前後のトルク配分を可変させる新設計のquattroと、電子制御のリアデフロックが組み合わされる。トランスミッションはいずれも8速ティプトロニックで、アウディの四輪駆動システムであるquattroを標準装備する。
電動ドアや曲面OLEDライト、Q9が積む新技術
インテリアで目を引くのは、アウディとして初採用となる自動開閉式の電動ドアだ。最大90度まで開き、サラウンドセンサーが障害物を検知すると開閉を止める仕組みを備える。パノラマサンルーフはアウディ史上最大となる1.5平方メートル超で、オプションでは9分割の調光ガラスにより透明度を切り替えられる。
外装で最大の目玉は、量産車としては世界初となる第3世代の3次元曲面デジタルOLEDリヤライトだ。ガラス基板の厚みはわずか0.1ミリで、人の髪の毛ほどの厚さしかない。この薄さがあるからこそ、車体のシルエットに沿って湾曲させることができ、横方向からの視認性も高まっている。ヘッドライト側では、対向車や先行車を検知して眩惑を防ぐデジタルマトリクスLEDが米国市場に初めて導入された。
運転支援では、ハンズフリーでの高速走行に対応する「アダプティブドライビングアシスタントプラス」を搭載する。対応速度は最高85mph(130km/h)で、ドイツと米国の一部区間から運用が始まり、順次拡大していく計画だ。ドライバーの視線や頭の動きを追う監視カメラが組み合わされ、自動運転レベルとしてはSAEレベル2の「部分自動運転」に分類される。
なぜアウディは「9」を選んだのか
アウディのSUVレンジは、初代のQ7からQ5、Q3、Q2へと枝分かれし、2018年にはクーペスタイルのQ8が加わった。だがQ8は3列目シートを持たず、7人乗りのフルサイズSUVという領域には、これまでアウディの選択肢がなかった。Q9は、その空白を埋めると同時に、あえて既存の番号を避けて「9」という新しい型式を立てることで、ポートフォリオの頂点であることを明確に示している。
性能グレードのSQ9も、単なる高出力版ではない。591馬力のパワーユニットを積みながら、最大7,700lb(約3,492kg)までの牽引に対応するなど、ファミリー向けの実用性も両立させている点は、フラッグシップらしい振る舞いと言えるだろう。
BMW X7やGLSと肩を並べるアウディ
アウディは公式発表の中で、Q9の比較対象としてBMW X7、メルセデス・ベンツGLS、レンジローバー、レクサスLX600を名指ししている。いずれも大型ラグジュアリーSUV市場を長年支えてきた顔ぶれであり、アウディはこの市場にこれまで単独モデルを持っていなかった。
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メルセデス・ベンツのGLSが後席のデジタルスクリーンや車両間で走行データを共有するサスペンション制御など、コネクテッド技術を軸に磨きをかけてきたのに対し、Q9は電動ドアや曲面OLEDライトといったハードウェア側の新機軸で存在感を打ち出す。どちらが優れているというより、大型SUVというジャンルの中で各社が異なる方向から「フラッグシップらしさ」を追求している構図が見えてくる。
Q9とSQ9 スペックと価格まとめ
| グレード | エンジン | 最高出力 | 最大トルク | 0-60mph | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q9 TDI 220kW(欧州) | 3.0L V6 TDI+MHEV plus | 220kW(299PS) | 630Nm | — | 108,400ユーロから(約1,960万円) |
| Q9 TDI 180kW(欧州) | 3.0L V6 TDI+MHEV plus | 180kW(245PS) | 500Nm | — | — |
| Q9 quattro(米国) | 2.9L TFSIツインターボV6 | 429hp(320kW) | 442lb-ft(約599Nm) | 4.9秒 | 87,700ドルから(約1,384万円) |
| SQ9(米国) | 4.0Lツインターボ V8 | 591hp(441kW) | 590lb-ft(約800Nm) | 3.8秒 | 118,000ドルから(約1,862万円) |
全グレードでquattro四輪駆動と8速ティプトロニックを標準装備する。日本仕様のグレード構成・価格は未発表だ。
曲面デジタルOLEDリヤライトは、アウター99・センター84・インナー73を含む6枚のパネルに計512のセグメントを持つ。この細かさが、ハザード点灯時に警告マークを表示したり、駐車支援中であることを周囲に知らせたりする「コミュニケーションライト」機能を可能にしている。
アウディQ9の日本発売はいつか
2026年8月時点で、日本仕様の発売時期・価格は発表されていない。ドイツでは2026年7月末に受注を開始し、同年第4四半期に納車が始まる。
アウディQ9とQ8の違いは何か
Q8は2018年に発売されたクーペスタイルのSUVで、3列目シートを持たない。Q9はQ7・Q8よりも大きい車体に3列7人乗りのキャビンを備えた、アウディ初のフルサイズSUVだ。
SQ9とQ9の違いは何か
米国仕様のQ9は2.9リットルV6ツインターボで429馬力を発生する。SQ9は4.0リットルV8ツインターボで591馬力を発揮し、0-60mph加速はSQ9が3.8秒、Q9が4.9秒と差がある。
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- 執筆
- ROADECT編集部
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