メルセデス・ベンツ GLS 2026年新型を発表 発売情報と全スペック
メルセデス・ベンツは2026年3月31日、フラッグシップ大型SUV「GLS」の改良新型を世界初公開した。現行X167型のフェイスリフトで、MBUXスーパースクリーンの全グレード標準化、後席11.6インチタッチスクリーン、新型V8(537PS)を含む大幅な刷新となる。日本市場向け情報は未発表。
メルセデス・ベンツは2026年3月31日、フラッグシップ大型SUV「GLS」の改良新型を世界初公開した。フルモデルチェンジではなく、現行のX167型をベースとしたフェイスリフトだ。外観の刷新にとどまらず、デジタルコックピットの全面刷新、後席エンターテインメントの標準化、パワートレインの刷新と、手を入れた領域は多岐にわたる。欧州での発売は2026年中盤を予定しており、日本市場向けの正式情報はまだ公表されていない。
メルセデス・ベンツ GLS 新型 概要
GLSは「SUVのSクラス」を標榜する3列7人乗りの大型SUVだ。メルセデス・ベンツの乗用車フラッグシップであるSクラスと同系プラットフォームを使い、ラグジュアリーセダンと同水準の乗り心地と先進技術をSUVボディに詰め込んだモデルとして位置づけられている。
今回発表された改良新型は、2020年の日本導入以来2度目のフェイスリフトにあたる。世界初公開の舞台となったのはアメリカ・アラバマ州タスカルーサのメルセデス・ベンツ製造拠点(MBUSI)。GLS、GLE、GLEクーペという3モデルが同日に一斉公開された。
欧州でのグレード構成は4種類。直列6気筒ディーゼルの「GLS 350d 4MATIC」(313PS)と「GLS 450d 4MATIC」(367PS)、直列6気筒ガソリンの「GLS 450 4MATIC」(381PS)、そしてV型8気筒の「GLS 580 4MATIC」(537PS)だ。全グレードに48Vマイルドハイブリッドシステムと四輪駆動の「4MATIC」を標準装備する。AMG GLS 63の改良版については後日発表される予定だ。
改良の注目ポイント デザイン・テクノロジー・パワートレイン
ヘッドライトが語るメルセデスの新しい顔
外観で最も目を引く変化は、新設計のヘッドライトだ。2+2の4点スター配列で発光するマイクロLEDのデジタルライトを採用し、照射範囲は従来比40%拡大、消費電力は50%削減を実現した。この星形LEDの表現は、メルセデス・ベンツが近年の電気自動車やコンセプトカーで用いてきたデザイン言語と統一されたものだ。
フロントグリルは大型化され、クロームフレームにスリーポインテッドスター形状のドットパターンが刻まれている。AMGラインでは、グリル自体にイルミネーションが加わる。オプションでボンネット上の立体的なメルセデス・スターをライトアップすることもでき、夜間の存在感をさらに増す仕様が用意された。なお英国など一部市場では規制上設定されない。
リアはLEDテールランプが新デザインとなり、スリーポインテッドスターの形状を模した3点の光源が特徴的だ。新しい塗色として「ダーク・ペトロール・フラット」と「マニュファクトゥール・パタゴニア・レッド・メタリック」が加わった。
MBUXスーパースクリーン 全グレード標準化
インテリアで最大の変化は、MBUXスーパースクリーンの全グレード標準装備化だ。12.3インチのタッチパネルを3枚、1枚のガラスパネルの下に収めたシステムで、運転席側のメータークラスター、中央のナビ・操作画面、助手席側の独立ディスプレイがひとつにつながって見える。助手席の乗員が動画を視聴したり、地図を操作したりするためのディスプレイが全車標準となったことで、フロントのデジタル空間が大きく広がった。
後席には11.6インチのタッチスクリーンが左右それぞれに1台ずつ標準装備される。映画の視聴、ビデオ通話、シートポジションの調整、アンビエントライトの変更といった操作が、後席に座ったまま完結する。運転手付きで使われることが多いGLS特有の利用スタイルを、色濃く反映した仕様だ。
フロントガラスに投影される拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)はGLS初採用となる18インチサイズで、ナビの案内や車速情報を実際の視野に重ねて表示する。ステアリングホイールは、前世代で採用されていた静電容量式のタッチパッドから、物理的なロッカースイッチに戻された。操作性の向上として、試乗した複数の海外メディアから肯定的な評価を受けている。
車載OS「MB.OS」も今回の改良で搭載された。メルセデス・ベンツが開発した独自のソフトウェアプラットフォームで、AIを活用した音声アシスタントや、スマートフォンをカギとして使うデジタルキー機能を搭載する。ソフトウェアのアップデートは通信回線を通じた無線(OTA)で受信できる。
サスペンションには、クラウドベースの能動型制御システム「E-アクティブボディコントロール」が設定される。メルセデス・ベンツ車同士がネットワークでつながり、先行車が通過した路面のデータ(段差や穴の位置など)を後続車と共有。自車が到達する前にサスペンションをあらかじめ調整し、不快な衝撃を和らげる仕組みだ。
M256 EvoとV8フラットプレーンの刷新
パワートレインもすべてのグレードで手が加えられた。GLS 450 4MATICに搭載される「M256 Evo」は、3.0リッター直列6気筒ターボガソリンエンジンの発展型だ。最高出力は381PS(280kW)だ。最大トルクは560Nm(ニュートンメートル)と、前モデル比で60Nm向上している。48Vマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせにより、幅広い回転域でトルクを発揮する。
GLS 580 4MATICのV8エンジンは、クランクシャフトにフラットプレーン方式を採用した点が新しい。一般的なV8が採用するクロスプレーン型とは異なり、フラットプレーンはクランクピンが一平面上に並ぶ設計だ。より高い回転域でパワーが伸びる特性を持つが、エンジン固有の振動が増しやすい。今回はバランスシャフトを2本追加することで振動を抑制し、最高出力537PS(395kW)、最大トルク750Nmを実現している。
なぜこの改良が重要なのか
X167型GLSはすでに一度フェイスリフトを経ており、2度目となる今回の改良が意味を持つ理由は、単なるデザインのリフレッシュにとどまらない点にある。
MB.OSの搭載とMBUXスーパースクリーンの全グレード標準化は、メルセデス・ベンツが推進する「ソフトウェア定義型自動車(SDV)」への移行を、GLSというフラッグシップモデルで具体化したものだ。購入後もソフトウェアが更新され続けるというコンセプトは、これまでの自動車の「モデルチェンジで更新する」という発想を根本から変えようとしている。
クラウドベースのサスペンション制御も同じ方向性だ。自車の走行データだけでなく、メルセデス・ベンツ全車の走行データを共有することで、道路状況への対応精度を高める。こうした「コネクテッド技術が乗り心地に直結する」という体験は、GLSクラスのユーザーに対して新しい価値として訴求できる。
競合であるBMW X7(G07型)は2023年に改良を完了しており、ラグジュアリー大型SUVの技術水準はここ数年で急速に上がっている。今回のGLS改良は、デジタル・コネクテッド領域でその水準に応答した、ということでもある。
今回の改良において特に存在感があるのは、後席の11.6インチスクリーンだ。グローバルでの大型高級SUV需要を牽引するのは中国・中東の富裕層であり、後席でのエンターテインメント体験を重視する市場の要求に、メルセデス・ベンツが明確に答えた内容になっている。
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欧州ラインアップ(2026年改良新型)
| グレード | エンジン | 最高出力 | 最大トルク |
|---|---|---|---|
| GLS 350d 4MATIC | 直6ディーゼル 48V MHV | 313PS(230kW) | — |
| GLS 450d 4MATIC | 直6ディーゼル 48V MHV | 367PS(270kW) | — |
| GLS 450 4MATIC | 直6 3.0L ガソリン M256 Evo 48V MHV | 381PS(280kW) | 560Nm |
| GLS 580 4MATIC | V8 4.0L フラットプレーン 48V | 537PS(395kW) | 750Nm |
全グレード:4MATIC四輪駆動、オートマティックトランスミッション
2026年3月31日、GLSの世界初公開の舞台となったアラバマ州タスカルーサのMBUSI(メルセデス・ベンツUSインターナショナル)では、同日に記念すべきできごとがあった。このGLSの公開と前後して、タスカルーサ工場での通算生産台数が500万台に達したのだ。MBUSIは1997年の生産開始以来、GLEやGLSをはじめとするSUVを生産し続けてきたメルセデス・ベンツの北米主力工場。改良新型の世界初公開という場で、製造の歴史にも節目が重なった。
GLS 新型はフルモデルチェンジか、マイナーチェンジか
今回の改良はX167型をベースとしたフェイスリフトだ。車体プラットフォームは現行のまま継続し、外装・内装・パワートレイン・ソフトウェアを幅広く刷新した。日本市場に現行X167型が導入された2020年以降、2023年のマイナーチェンジに続く2度目の改良となる。
GLS 580 の V8 エンジンにフラットプレーンクランクが採用されたのはなぜか
フラットプレーンクランクシャフトは、クランクピンが一平面上に並ぶ構造だ。通常のV8(クロスプレーン型)に比べて高回転域でのパワーが伸びる特性を持ち、AMGやフェラーリのスポーツモデルでよく使われる設計だ。GLS 580ではバランスシャフトを2本追加してエンジン固有の振動を抑え、ラグジュアリーSUVとしての静粛性を保ちながら537PSを引き出している。
日本市場への GLS 新型の導入時期はいつか
2026年4月現在、日本市場向けの発売時期・価格・グレード構成は公表されていない。前回の改良では欧州発表から約1年後に日本仕様が発売されたが、今回も同様のスケジュールかどうかは未定だ。

