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Vision BMW ALPINA ヴィラ・デステで世界初公開
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Vision BMW ALPINA ヴィラ・デステで世界初公開

2026年5月15日、イタリア・コモ湖畔のヴィラ・デステでVision BMW ALPINAが初公開された。市販モデルではなく、デザインスタディとしての発表だ。2026年1月にBMWグループのエクスクルーシブ・ブランドへ移行した新生ALPINAが、初めて公の場で示した「次世代の方向性」を読み解く。

コモ湖畔のヴィラ・デステに、新たなシルエットが現れた。2026年5月15日、BMWグループは「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」において「Vision BMW ALPINA」を世界初公開した。正式な市販モデルではなく、デザインスタディとして位置づけられた1台だ。しかし、2026年1月にBMWグループのエクスクルーシブ・ブランドへと移行したALPINAが、初めて公の場で示した「次世代の方向性」として、その意味は小さくない。

Vision BMW ALPINA ビューティショット 外観全景
出典: BMW Group Japan

コモ湖畔という初舞台が語ること

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステは、イタリアのコモ湖畔、チェルノッビオに建つヴィラ・デステで毎年開催される、世界最高峰のクラシックカー品評会だ。世界中のコレクターが所有する名車が一堂に会し、審査員がその美しさを競う場として広く知られる。2026年の会期は5月15日から17日の3日間で、BMWグループはこのイベントで2台の世界初公開を行った。

新生ALPINAが、速さではなく「美」を問う舞台を最初のデビューの地に選んだことは、ひとつの表明だ。歴史あるクラシックカーの世界に、デザインスタディを持ち込む行為には「ALPINAの美学と伝統を継承する」という意志が込められている。舞台を選ぶこと自体が、メッセージになっている。

シャークノーズと3本のライン ALPINAの意匠言語が受け継がれた

Vision BMW ALPINAで最初に目を引くのは、前端から伸びる力強いフロントマスクだ。キドニー・グリルを三次元的な彫刻として再解釈したこの造形は「シャークノーズ」と呼ばれ、1970年代に登場したオリジナルのALPINA B7クーペに遡るシグネチャーだ。半世紀をまたいで、形は変わりながら意志は続いている。

Vision BMW ALPINA サイドビュー スピード・フィーチャー・ライン
出典: BMW Group Japan

車体側面には「スピード・フィーチャー・ライン」が走る。フロント下部から6度の角度で立ち上がり、リアへと弧を描くこの1本の線が、全長5,200mmのボディ全体に速度感を与える。そして1974年から続くALPINAの意匠言語「デコ・ライン」は、クリアコートの下層にペイントされる。表面から見ると、奥に沈んでいるように見えるその質感は、ALPINAの車体を一目で判別させてきた視覚的な記号だ。

フロント22インチ、リア23インチという大径の20スポークホイールは、クラシックなALPINAホイールの現代解釈だ。ワイドかつ低く、自信に満ちた佇まいの中に、4名が快適に過ごせる空間を確保するというクーペとしての矛盾を、このデザインは内側から解決しようとしている。

Vision BMW ALPINA デザインスケッチ
出典: BMW Group Japan

内側に込められたもの インテリアが語る快適性の哲学

インテリアに選ばれたのは、アルプス地域産のフルフレイン・レザーだ。現代の高級車インテリアが向かうミニマリズムとは一線を画し、素材の豊かさと建築的な重層構成を追求している。BMW Panoramic iDriveが組み込まれる一方で、クリスタル製のスイッチギアやマシンド・メタルの加飾が空間を満たす。

リア・コンソール背後にはガラス製ウォーターボトルが収められ、デコ・ラインの20本を刻印したクリスタルグラスが添えられる。細部まで貫かれた一貫性は、大陸を渡る長距離移動の中でこそ意味を持つ。「快適性」とは座面の柔らかさだけではなく、手に触れるものすべての品質の積み重ねだ。そういう主張が、この内装から読み取れる。

Vision BMW ALPINA インテリア BMW Panoramic iDrive ダッシュボード
出典: BMW Group Japan

「スピードと快適性は相反しない」 新生ALPINAの言葉

BMWグループ デザイン責任者のアドリアン・ファン・ホーイドンクは「ALPINAは常に『性能と洗練さ』という明確な考え方を体現してきた。スピードと快適性は相反するものではなく、互いを高め合う」と語る。BMW中堅・ラグジュアリークラスおよびALPINAの統括デザイナーであるマクシミリアン・ミッソーニは「ブランド要素を本質まで蒸留し、モダンで洗練された形に適用した」と説明する。

ALPINA責任者のオリバー・フィールシュナーが示す方向性は明快だ。「BMWとロールス・ロイスの間の空白を埋め、スピード・快適性・洗練さを守りながら発展させる」と語っている。新生ALPINAのポートフォリオ上の立ち位置を、これ以上端的に表した言葉はない。

デザインスタディが照らすALPINAの次の章

市販モデルではない以上、Vision BMW ALPINAに発売時期や具体的な量産スペックを問うことは的外れだ。このデザインスタディが問いかけているのは、「ALPINAはこれから何者であるか」という問いへの答えだ。

V8エンジンを搭載し、全長5,200mmのボディに4名を迎え、コモ湖畔に佇んだその姿は、グランドツアラーの精神がBMWグループの看板の下でも変わらないことを示している。1965年にドイツ・ブッフローエで創業されたブランドが半世紀以上かけて積み上げてきた哲学が、ヴィラ・デステという舞台で静かに宣言された。ブランドの統合が「変容」ではなく「継承」であることを、このデザインは語っている。

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ALPINAの「デコ・ライン」は1974年から受け継がれてきた。独自のカラーリングとして知られるこのラインは、通常の車体色とは別の工程でクリアコートの下層に施される。表面から浮き出るのではなく、奥に沈むように見えるその独特の質感は、ALPINAを一目で判別できる視覚的な記号として機能してきた。Vision BMW ALPINAでは、クリスタルグラスにデコ・ラインが20本刻まれ、ホイールも同じく20スポークとして設計されている。

Vision BMW ALPINAはいつ発売されるのか

現時点でBMWグループから市販化の発表はない。コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステでのデビューはデザインスタディとしての公開であり、あくまで新生ALPINAの方向性を示すものだ。量産モデルへの転換については、今後の発表を待つことになる。

BMW MモデルとALPINAはどう違うのか

BMW Mがサーキットのノウハウをもとにスポーツ性能を極めるブランドであるのに対し、ALPINAはグランドツアラーとして高速性能と長距離の快適性を両立させることを志向してきた。「スピードと快適性は相反しない」というALPINAの言葉は、BMW Mとは出発点が異なることを示している。