日産新型エルグランド発表 689万円から発売、e-POWER刷新
新型エルグランドが2026年7月16日にフルモデルチェンジを果たし、即日発売された。第3世代e-POWERと進化したe-4ORCEに加え、日本の伝統工芸「組子」をモチーフにしたデザインが特徴だ。基準グレードの価格からAUTECHなど4つのカスタムブランドの展開まで、新型エルグランドの全貌を整理する。
日産自動車株式会社は2026年7月16日、フルモデルチェンジした新型「エルグランド」を発表し、同日から発売した。第3世代の「e-POWER」と進化した「e-4ORCE」を軸に、デザインから室内空間、先進安全装備までを一新している。価格はX e-4ORCEが689万7,000円から、G e-4ORCEが757万9,000円からとなる。
新型エルグランド、発表と同日に発売開始
新型エルグランドは2025年10月29日のJapan Mobility Show 2025で先行公開されており、今回の発表はその市販型が正式にラインアップへ加わったかたちだ。同じ会場で日産は3つのフラッグシップモデルを公開しており、新型エルグランドはその一角を占めていた。
日産は今回の刷新について、「エルグランドのDNAである『運転の愉しさ』をさらにレベルアップさせ、いつまでも乗っていたくなるグランドツーリング体験を提供する」としている。単なる移動の道具ではなく、乗員全員が快適さを享受できるプレミアムミニバンという立ち位置を、より明確に打ち出した形だ。
新型エルグランド、4つの刷新ポイント
組子モチーフが息づくデザインの刷新
新型エルグランドのデザインコンセプトは「The private MAGLEV」、日本語ではリニアモーターカーと名付けられている。時を超えて受け継がれる日本のDNAを表現する「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」というコンセプトのもと、フロントグリルには日本の伝統工芸である組子をモチーフにした意匠が採用された。この組子パターンはシグネチャーランプへと連続し、横一文字のリアコンビランプにも同じ柄が配されている。ホイールも軽量化を追求しながら、樹脂フィニッシャーによってアルミホイールだけでは表現しきれない緻密さを与えた。
ボディカラーは全5種類。プリズムホワイト、至極(シゴク)、ダークメタルグレー、ミッドナイトブラックのモノトーン4色に加え、富士山の夜明けの一瞬を切り取った自然美を表現した新色FUJI DAWN(フジドーン)と、日本で古来より高貴さや格式の高さを象徴する色から着想した至極を組み合わせたプレミアム2トーンが新たに設定された。
室内はアイポイントを高くすることで運転席からの視界を広げ、ドアトリムには外装の組子パターンと統一感を持たせたキルティングを施している。センターとメーターディスプレイには、国内モデルとして初となる14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを採用した。乗員を包み込むように連続する間接照明は、最大64色から選べる。
第3世代e-POWERと進化したe-4ORCE
パワートレインの核となるのが、新設計の第3世代「e-POWER」だ。発電専用に効率を高めたエンジン(ZR15DDTe)は、水冷直列3気筒でDOHC、総排気量1.498リットル、最高出力103kW(140PS)を5000rpmで発生する。この発電機に、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機の5つの主要部品を1つにまとめた「5-in-1」の電動ユニットを組み合わせ、駆動は100%モーターで行う。フロントモーターは最高出力151kW(205PS)、リヤモーターは最高出力100kW(136PS)を発生し、プラットフォームも先代から大幅に改良された。高剛性ボディと徹底した遮音構造により、静粛性と快適な乗り心地を両立させている。
電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」も進化した。従来のモーターとブレーキの統合制御に加え、リヤモーターのトルクを積極的に活用することで、より気持ちのよいコーナリングを実現するという。走行中のモーター出力とブレーキの作動状態はメーターディスプレイに表示され、制御の様子を視覚的に確認できるようになった。4輪の減衰力を可変制御する「インテリジェント ダイナミックサスペンション」も組み合わされ、車体の揺れを抑えた落ち着いた挙動をもたらす。走行シーンに応じてこれらの特性を変化させる、ECO、STANDARD、SPORT、COMFORT、SNOW、PERSONALの6つのドライブモードも備えている。
なお日産は、エンジン騒音に加えてロードノイズも低減するアクティブ・ノイズ・コントロールを、世界初の機能として搭載したとしている。
全席ゼログラビティシートと大画面ディスプレイ
室内空間は先代から大幅に拡大された。スライドドアには大型ウインドウが採用され、1列目から3列目にかけて後方ほど座席が高くなるシアターレイアウトと相まって、開放感のある空間をつくり出している。
全席にゼログラビティシートを採用したのも見どころだ。2列目シートは大人でも寝返りが打てるほどの幅を確保し、助手席と2列目左右席の3席で同時にオットマンを使用できる。2列目シートはシートバック上部のみをリクライニングできるデュアルリクライニングを備えており、頭部だけを起こした姿勢を保ちながら、車内モニターやスマートフォンの画面を見ることが可能だ。音響面ではBOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステムを用意し、3Dサラウンド再生によって映画館のような音響空間を再現する。
実用面の装備も充実している。センターコンソールには、スマートフォン2台を同時に充電できるQi2.0規格対応のワイヤレス急速充電器を備え、100V AC電源(1500W)を3つ装備した。3列目シートは前後2カ所で跳ね上げ格納できるマルチアップシートを採用し、7名乗車の状態でも機内持ち込みサイズのスーツケースを7個積載できる。
プロパイロット2.0と「みまもりドライブ」
先進運転支援システムも刷新された。X e-4ORCEには「プロパイロット」を標準装備し、G e-4ORCEには渋滞時のハンズオフ走行に対応した「プロパイロット(ナビリンク機能、渋滞時ハンズオフモード、車線変更支援機能付)」を標準装備する。X e-4ORCEにはこの上位機能をオプション設定し、G e-4ORCEには「プロパイロット2.0」をオプションで用意した。新たに時速50km以下の渋滞時にハンズオフした状態での走行が可能になったほか、時速60km以上でウインカー操作により車線変更を支援する機能も追加されている。メモリー機能付きの「プロパイロット パーキング」は、記録した駐車位置に近づくと、ステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキをボタン一つで自動制御する。
NissanConnectインフォテインメントシステムはGoogleを搭載し、Googleマップ、Googleアシスタント、Google Playの各機能に対応した。ドアの施錠し忘れやハザードランプの消し忘れをスマートフォンに通知する「し忘れアラート」や、衝撃などの異常を検知すると周辺を自動撮影して通知する「リモートフォトショット」にも対応する。2026年7月16日からは、第2世代NissanConnectサービス会員向けに、家族など大切な人の運転状況をスマートフォンへリアルタイムに通知する新サービス「みまもりドライブ」も追加された。
新型エルグランドの価格とグレード構成
新型エルグランドの基準グレードは、689万7,000円のX e-4ORCEと757万9,000円のG e-4ORCEの2グレード構成だ。全モデルが電動駆動4輪制御のe-4ORCEを採用しており、実質的に4WD専用モデルとなっている。
これに加えて、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)が、新型エルグランドをベースにした4つのカスタムブランドを発売する。「AUTECH」「AUTECH LINE」「VIP」「ステップタイプ」で、NMCは神奈川県茅ヶ崎市に本社を置く日産グループの企業だ。
AUTECHは、多種多様なカスタムカーづくりで培ってきたものづくりの技術を継承するブランドで、エルグランドAUTECHとしては2代目にあたる。ブランド発祥の地である湘南・茅ヶ崎の海と空をイメージしたブルーを象徴色とし、G e-4ORCEをベースに専用のフロントグリルやプレミアムナッパレザーシートなどを装備した。価格は824万7,800円で、他のモデルより1カ月ほど遅れて2026年8月上旬に発売される。
AUTECH LINEは正統派のスポーティなスタイルを求める層に向けたモデルで、X e-4ORCEベースが717万9,700円から、G e-4ORCEベースの「G-spec」が778万4,700円から用意される。VIPは専属ドライバーによる送迎需要に応える1台で、後席専用モニターやBOSEサウンドシステムを標準装備し、価格は869万8,800円。ステップタイプは助手席側の乗降性を高めるロングステップを備えたモデルで、714万6,700円から803万4,400円までの価格帯に4つの仕様がラインアップされている。
最新e-POWERがミニバンに来た理由
新型に搭載された第3世代e-POWERは、発電専用エンジンとモーター・発電機・インバーター・減速機・増速機を1つにまとめた「5-in-1」ユニットという、日産のパワートレインの中でも先進的な技術だ。この技術がまず投入されたのが、スポーツカーでもコンパクトカーでもなく、車両重量2.4トン級のフラッグシップミニバンだったという事実は興味深い。
プレミアムミニバンは、乗員全員が長時間を過ごす移動空間としての性格が強い。エンジンを発電専用に振り切ることで得られる静粛性や、モーター駆動ならではの唐突感のない滑らかな加減速は、そうした乗員全体の快適性に直結しやすい。進化したe-4ORCEがリヤモーターのトルクを積極的に活用してコーナリング性能まで高めているのも、単なる燃費改善ではなく乗り心地の質そのものを底上げする狙いがうかがえる。最新技術をまずエルグランドに投入したことは、日産がこのクラスをブランドの技術力を示す場として位置づけていることの表れともいえる。
組子モチーフに宿る伝統と先端技術
新型エルグランドのデザインを特徴づけているのが、フロントグリルからシグネチャーランプ、リアコンビランプへと連続する組子モチーフだ。日本の伝統工芸である組子を車体全体の意匠に落とし込みながら、センターとメーターディスプレイには国内モデル初となる14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを組み合わせている。
一見すると対照的な要素に思えるが、これは日産が掲げる「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」というコンセプトそのものだ。伝統工芸を単なる装飾として表面に貼り付けるのではなく、ドアトリムのキルティングやホイールの意匠にまで一貫させることで、1台のクルマの中に時代を超えて受け継がれる日本のDNAを宿そうとしている。組子という手仕事の緻密さと、14.3インチディスプレイに象徴されるデジタルの先端技術が同じ車内に同居していることこそが、新型エルグランドが単なる移動の道具ではなく、日本のフラッグシップミニバンを名乗る根拠になっている。

日産エルグランド E50型 初代モデルの全貌と高級ミニバン誕生の歴史
新型エルグランドの主要スペック
| 項目 | X e-4ORCE | G e-4ORCE |
|---|---|---|
| 価格 | 689万7,000円 | 757万9,000円 |
| 全長×全幅×全高 | 4,995×1,895×1,975mm | 同左 |
| ホイールベース | 3,000mm | 3,000mm |
| 車両重量 | 2,430kg | 2,440kg |
| 乗車定員 | 7名 | 7名 |
| エンジン | ZR15DDTe(直列3気筒1.498L) | 同左 |
| エンジン最高出力 | 103kW(140PS)/5000rpm | 同左 |
| フロントモーター最高出力 | 151kW(205PS) | 同左 |
| リヤモーター最高出力 | 100kW(136PS) | 同左 |
| WLTCモード燃費 | 16.8km/L | 同左 |
新型エルグランドのセンター・メーターディスプレイに採用された14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイは、国内向けモデルとして初の採用だという。フロントグリルの組子モチーフと呼応するように、デジタルとアナログの伝統工芸が1台の中で共存している。
新型エルグランドとAUTECHの違いは何か
AUTECHは日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社が発売するカスタムブランドで、基準車のG e-4ORCEをベースに専用のフロントグリルやプレミアムナッパレザーシートなどを追加した仕様だ。価格は824万7,800円で、基準車のG e-4ORCEより発売が遅く、2026年8月上旬に発売される。
新型エルグランドの燃費はどのくらいか
基準車のX e-4ORCEとG e-4ORCEは、WLTCモードで16.8km/Lの燃費性能を持つ。内訳は市街地モードが15.2km/L、郊外モードが17.8km/L、高速道路モードが16.9km/Lとなっている。




