ROADECT
トヨタ コースターを一部改良 プリクラッシュセーフティが検知範囲拡大
ニュース3,781字

トヨタ コースターを一部改良 プリクラッシュセーフティが検知範囲拡大

トヨタは2026年7月29日、小型バス「コースター」を一部改良した。プリクラッシュセーフティが自転車運転者や交差点の対向車まで検知範囲を広げ、カラーデジタルメーターも新設。1963年の「ライトバス」を起源とする半世紀を超える歩みと、幼児専用車やビッグバンを含む現行ラインアップもあわせて解説する。

通学路で信号待ちをしていると、幼稚園帰りの送迎バスとすれ違うことがある。観光地のホテル前では、白いマイクロバスから旅行客が降りてくる光景も見慣れたものだ。トヨタ「コースター」は、そうした日常の風景に半世紀以上にわたって溶け込んできた小型バスだ。2026年7月29日、トヨタはこのコースターを一部改良し、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の検知範囲を広げた。

コースターに搭載された新しい安全装備

今回の一部改良の中心は、全車標準装備の「Toyota Safety Sense」の機能向上にある。

プリクラッシュセーフティは、歩行者を昼夜、自転車運転者を昼夜、自動二輪車を昼間に検知できる衝突回避支援タイプで、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせて作動する。今回の改良では、これまでの車両・歩行者に加えて自転車運転者を検知対象へ加え、検知範囲を広げた。さらに、交差点を右折する際に対向から直進してくる車両を検知する機能と、右左折の際に対向方向から横断してくる歩行者や自転車を検知する機能も新たに加わっている。

付帯機能として新設されたのが、発進遅れ告知機能だ。前を走る車両が発進したことや、交差点で停車中に信号の停止表示が解除されたことに気づかず停止し続けた場合、ドライバーに知らせる。そのほか、車線からの逸脱を知らせるレーンディパーチャーアラートや、ハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビーム、運転者に異変が生じた際に車両を自動で停止させるドライバー異常時対応システムなども、Toyota Safety Senseの構成要素として備わる。

計器盤まわりでは、視認性に優れたカラーデジタルメーターが新設され、全車に標準装備された。7.0インチのTFTカラー液晶によるマルチインフォメーションディスプレイと組み合わされており、運転中に必要な情報をひと目で把握できる設計になっている。

プリクラッシュセーフティ「交差点」自車右左折時、対向方向から横断してきた歩行者や自転車も検知する機能(作動イメージ)
出典: トヨタ自動車株式会社
ユーザビリティ「幅広いドライバーが快適に操作できる運転環境」
出典: トヨタ自動車株式会社

プリクラッシュセーフティが検知範囲を広げた理由

バスは運転席の位置が高く、車体も長い。乗用車に比べて死角が生まれやすく、とりわけ右左折時に歩行者や自転車を巻き込むリスクは、大型車両の事故要因として長く指摘されてきた。コースターのような小型バスも例外ではなく、送迎や観光の現場で交差点を頻繁に通過する運行特性を踏まえれば、検知シーンを右左折時の対向車・横断者にまで広げる意味は大きい。

小型バスに限らず、バスというカテゴリ全体で死角対策の安全装備を底上げする動きが進んでいる。大型観光バスの領域でも、2026年に相次いで安全装備の強化が行われた。

関連記事
いすゞ・ガーラ 2026年型一部改良 安全装備を大幅強化して発売
ニュース

いすゞ・ガーラ 2026年型一部改良 安全装備を大幅強化して発売

コースターにとって、今回の改良は単発の出来事ではない。2026年1月22日にも一部改良が行われており、新型3.0Lディーゼルエンジン「3GD-FTV型」への刷新、17インチディスクブレーキの前後採用、USB Type-C充電端子の追加、幼児専用車の設定などが盛り込まれていた。半年の間隔を置いた2度の改良を並べると、1月にパワートレインと足回りという土台を刷新し、7月に安全装備と電子装備を仕上げるという、二段構えの商品強化が見えてくる。

コースターには、大人3人に加えて幼児39人または46人が乗車できる幼児専用車という設定もある。その装備一覧には「車内置き去り防止支援システム」の項目も並んでいる。トヨタは2023年2月28日にも、送迎用バスの置き去り防止を支援する装置を発売しており、送迎バスをめぐる安全対応は一部改良という枠を超えて、継続的に積み重ねられてきた。

幼児専用車(標準ボディ車・大人3人+幼児39人乗り・イエロー)
出典: トヨタ自動車株式会社

半世紀を超えるコースターの歩み

コースターの起源は、1963年に小型トラック「ダイナ」の派生モデルとして誕生した「ライトバス」にさかのぼる。1969年2月3日、このライトバスをフルモデルチェンジする形で初代コースターが発売された。専用フレームのホイールベースを270mm延長してフロア面を下げ、ボディデザインを一新することで居住性を高めたモデルで、乗車定員は26人、エンジンは2Lガソリンの5R型またはディーゼル仕様が選べた。1977年には小改良でホイールベースがさらに延長され、安全性も強化されている。

その後も複数回のモデルチェンジを重ね、1993年に発売された3代目は高い信頼性で長く支持された。そして2016年12月22日、トヨタは3代目から24年ぶりとなるボディの全面刷新を発表し、2017年1月23日に4代目を発売した。ルーフから側面、フロアまでの骨格をひとつなぎにした環状骨格を採用し、バスの安全評価基準「ECE基準R-66」に適合させた。VSCを日本の小型バスクラスで初めて標準装備し、運転席と助手席にはSRSエアバッグも標準装備している。これは、商用車の開発から生産までを一貫して手がける社内カンパニー「CV Company」が発足して初めて手がけたフルモデルチェンジ車でもあった。

2016年12月の発表時点で、コースターは110以上の国と地域で販売され、累計販売台数は55万台を超えていた。1963年のライトバスから数えて半世紀余り、コースターは世界各地で人の移動を支え続けてきたことになる。生産は、2016年のフルモデルチェンジ時点で岐阜車体工業株式会社の本社工場が担っていた。

パッケージオプション「さまざまな用途やシーンにお応えする豊富なラインアップ」
出典: トヨタ自動車株式会社
出典: トヨタ自動車コーポレート(YouTube)

送迎から福祉輸送まで、コースターが担う仕事

現行コースターの一般乗合仕様は、PREMIUM CABIN、EX、GX、LXの4グレードで構成される。ボディタイプは標準・ロング・超ロングの3種類があり、乗車定員はグレードとボディタイプの組み合わせによって13人から29人まで幅を持つ。2016年のフルモデルチェンジ発表では「飲食店やホテル、幼稚園の送迎など様々なシーンで活躍している」と紹介されており、その用途の広さは現行モデルにも引き継がれている。

一般乗合仕様のほかにも、コースターには特装系の派生モデルが用意されている。大人3人に加えて、標準ボディなら幼児39人、ロングボディなら幼児46人が乗車できる幼児専用車は、専用の折戸ドアや幼児用の3段式ステップ、保護者用のシートを備え、ボディカラーには視認性の高いイエローも選べる。もう一つが、1ナンバー登録の貨客兼用モデル「コースター ビッグバン」だ。乗車定員9人に加えて最大1,250kgの荷物を積める設計で、外見はバスでありながら実用車としての側面を併せ持つ。

送迎バス、スクールバス、福祉輸送、そして貨客兼用の実用車としての顔まで持つコースターは、乗用車のように所有する喜びを競う存在ではなく、日々の移動を支え続ける裏方の役回りを担ってきた。今回の改良で安全装備が底上げされたのも、その役回りを果たし続けるための、地に足のついた進化だと言える。

コースターのスペックとグレード一覧

項目内容
発売日2026年7月29日(一部改良)
グレードPREMIUM CABIN/EX/GX/LX
ボディタイプ標準ボディ/ロングボディ/超ロングボディ
乗車定員13人〜29人(グレード・ボディタイプにより変動)
全長6,255mm(標準)/6,990mm(ロング)/7,725mm(超ロング)
全幅2,080mm
全高2,630〜2,640mm
エンジン3GD-FTV型 直列4気筒 直噴ディーゼルターボ、総排気量2.999L
最高出力(高出力仕様)123kW(167PS)/2,600rpm、最大トルク452N・m(46.1kgf・m)
最高出力(標準仕様)108kW(147PS)/2,500rpm、最大トルク414N・m(42.2kgf・m)
トランスミッションAK60E型 電子制御式6速オートマチック
燃料消費率(JH25モード)9.58〜9.59km/L

コースターは乗合仕様のPREMIUM CABIN・EX・GX・LXだけでなく、幼児専用の送迎バスや、乗車定員9人に最大積載量1,250kgの荷室を備える「コースター ビッグバン」までラインアップに持つ。プリクラッシュセーフティをはじめとするToyota Safety Senseは、これらすべてのバリエーションに共通で標準装備されている。

コースターの乗車定員は何人か

一般乗合仕様のPREMIUM CABIN・EX・GX・LXは、グレードとボディタイプの組み合わせにより13人から29人まで設定される。幼児専用車は大人3人に加えて幼児39人または46人、貨客兼用のコースター ビッグバンは9人に加えて最大積載量1,250kgとなる。

コースターの燃費はどれくらいか

国土交通省審査値のJH25モードで9.58〜9.59km/Lだ。ボディタイプやエンジンの出力仕様によって、わずかに数値が異なる。