エブリイ 2026年一部仕様変更 ACC全車速追従とフロントデザインを刷新
スズキが2026年5月に一部仕様変更したエブリイとエブリイワゴン。ACCや前後パーキングセンサーが追加されたが、搭載されるグレードは両モデルで大きく異なる。年間84,000台が走る現場に何が変わったかをグレード別に整理する。
スズキは2026年5月8日、軽商用バン「エブリイ」と軽ワゴン「エブリイワゴン」の一部仕様変更モデルを発売した。フロントデザインの刷新に加え、アダプティブクルーズコントロール(以下ACC)や前後のパーキングセンサーなど、実用性に直結する運転支援装備が大幅に充実している。農業・配送・日常移動と多様な現場でこのシリーズを使う人々にとって、今回の改良は装備の有無という実質的な選択肢の変化を意味する。
エブリイ・エブリイワゴン 2026年一部仕様変更の概要
発売日は2026年5月8日。価格帯はエブリイが134万3,100円から213万2,900円、エブリイワゴンが201万9,600円から226万4,900円だ。福祉車両「ウィズシリーズ」の仕様変更モデルは2026年7月22日に発売予定となっている。
エブリイのグレード構成はPA・PC・JOIN・JOINターボ・Jリミテッドの5種類で、2WDと4WD、CVTと5MT(一部グレード)から選択できる。エブリイワゴンはPZターボとPZターボスペシャルの2グレード展開で、標準ルーフとハイルーフを設定する。エブリイワゴンは全グレードCVTのみだ。
スズキのエブリイシリーズ年間販売目標は84,000台。軽商用バン・軽ワゴン市場での存在感はとりわけ大きく、仕様変更の内容が実際の「現場」に与える影響も決して小さくない。
ACCと安全装備の充実 エブリイはJOIN以上、ワゴンは全グレードに
2026年5月の仕様変更で最も実質的な変化は、運転支援装備の追加だ。
エブリイには、先行車に追従して自動で速度を制御するACC(全車速追従機能付き)、前後のパーキングセンサー、ステアリング操作で車線逸脱を抑制する機能が新たに加わった。デジタルスピードメーターとスズキコネクト対応通信機内蔵の全方位モニター付き9インチメモリーナビゲーションも新たに設定されている。
ただし、ACCとパーキングセンサー、車線逸脱抑制機能、デジタルスピードメーターが標準装備されるのはJOINターボとJOINの2グレードに限られる。PCとPAにはこれらの設定がない。9インチナビについてはJOINターボ・JOIN・PCのCVT車にメーカーオプションとして選択できるが、PAは対応する機種設定が存在しないため工場装着での選択ができない。エブリイで運転支援装備を求めるなら、グレード選びが装備の有無を決める分岐点になる。
エブリイワゴンはPZターボスペシャル・PZターボの両グレードとも、ACC・パーキングセンサー・車線逸脱抑制機能をすべて標準装備する。LEDヘッドランプやLEDフォグランプも全グレード標準だ。9インチナビについては全8バリアントすべてにメーカーオプションとして設定できる。乗用車としての性格に相応しい安全装備水準を、グレードを問わず確保している。
安全認定面では、全車に継続搭載する対歩行者対応のデュアルセンサーブレーキサポートIIと今回追加の装備群により、「サポカーS ワイド」とPMPD認定を取得した。
フロントデザイン刷新とエブリイワゴン専用装備
デザイン面でも両モデルはそれぞれ異なる方向へ踏み込んだ。
エブリイは「堅牢さ」をテーマに掲げ、存在感を高めるフロントフェイスへ変更した。仕事の道具としての力強さを視覚的に前面に出す造形だ。エブリイワゴンは「力強さと上質感」をテーマに刷新し、乗用としての性格をより明確にしている。インテリアは両モデルともに黒を基調とした落ち着きある仕上がりに変わった。
エブリイワゴン専用の変更として、新色「マジェスティックディープグレーパールメタリック」が追加された。快適装備では、ステアリングヒーターと後席両側のパワースライドドア予約ロック機能が両グレードに標準装備として加わっている。携帯リモコンや乗降ドアのリクエストスイッチから施錠を予約できるこの機能は、荷物を持ったまま乗り込む場面で実際的に役立つ。
年間84,000台を支えるクルマの変化
エブリイは農業・配送・サービス業など日本の産業現場を広く支える軽商用バンだ。年間84,000台という販売目標が示す通り、このクルマが走っている現場は多岐にわたり、乗っている人の職業も使い方も実に多様だ。
商用のエブリイと乗用のエブリイワゴンは、見た目こそ似通っているが、根本から設計の出発点が異なる。エブリイの最大積載量は350kg(4名乗車時は250kg)で、乗車定員も仕様によっては2名となる。エブリイワゴンは4名乗車専用の乗用車で、左右独立リクライニングのリヤシートや165/60R14の14インチタイヤ、LEDフォグランプを全グレードに備える。エブリイのタイヤが145/80R12の12インチであることと比べると、その差は外観からも読み取れる。
2026年5月の仕様変更が両モデルに共通して届けたのは、「安全装備をきちんと選べるクルマ」という実質だ。高速道路での長距離配送を担うドライバーにとってACCは疲労軽減に直結し、農山村でクルマを使うシニア層にとってパーキングセンサーは実質的な安全ネットになる。「軽バンに安全装備は二の次」という前提がそぐわなくなりつつある時代で、エブリイはその変化に応えた。
スペック・価格まとめ
エブリイ 価格一覧(消費税10%込み)
| グレード | 2WD / CVT | 2WD / 5MT | 4WD / CVT | 4WD / 5MT |
|---|---|---|---|---|
| PA | 143万4,400円 | 134万3,100円 | 158万8,400円 | 147万5,100円 |
| PC | 154万円 | — | 169万4,000円 | — |
| JOIN | 165万4,400円 | 154万1,100円 | 180万8,400円 | 167万3,100円 |
| JOINターボ | 177万5,400円 | — | 192万9,400円 | — |
| Jリミテッド | 197万8,900円 | — | 213万2,900円 | — |
エブリイワゴン 価格一覧(消費税10%込み)
| グレード | 標準ルーフ 2WD | 標準ルーフ 4WD | ハイルーフ 2WD | ハイルーフ 4WD |
|---|---|---|---|---|
| PZターボ | 201万9,600円 | 217万3,600円 | 203万7,200円 | 219万1,200円 |
| PZターボスペシャル | 209万3,300円 | 224万7,300円 | 211万900円 | 226万4,900円 |
主要スペック
| 項目 | エブリイ(JOINターボ) | エブリイ(JOIN / PC / PA) | エブリイワゴン(全グレード) |
|---|---|---|---|
| エンジン | R06A型 ターボ | R06A型 NA | R06A型 ターボ |
| 最高出力 | 47kW(64PS)/ 6,000rpm | 36kW(49PS)/ 6,200rpm | 47kW(64PS)/ 6,000rpm |
| 最大トルク | 95N·m / 3,000rpm | 60N·m / 4,000rpm | 95N·m / 3,000rpm |
| 燃費(WLTCモード・2WD CVT) | 15.1km/L | 16.4km/L | 15.1km/L |
| 全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,895mm | 同左 | 3,395×1,475×1,815mm(標準)/ 1,910mm(ハイルーフ) |
| タイヤ | 145/80R12 | 同左 | 165/60R14 |
| 最大積載量 | 350kg(4名乗車時250kg) | 同左 | —(乗用車) |
| 乗車定員 | 2名または4名 | 同左 | 4名 |
出典: スズキ株式会社
エブリイのJOINターボとNA系グレードは、同じR06A型エンジンでも圧縮比が大きく異なる。JOINターボが9.1なのに対し、JOIN・PC・PAのNAは11.3だ。ターボ車では過給時のノッキングを防ぐため意図的に圧縮比を下げており、排気量は同じ0.658Lでもエンジン内部の設計は根本から異なる。出力はターボが47kW(64PS)、NAが36kW(49PS)だ。同じ0.658Lの排気量でも、過給の有無でこれだけ変わる。
エブリイ 2026年仕様変更でACCが付くグレードはどれか
ACCが標準装備されるのはJOINターボとJOINの2グレードだ。PCとPAにはACCおよびパーキングセンサーの設定がない。9インチメモリーナビゲーション(スズキコネクト対応)はJOINターボ・JOIN・PCのCVT車にメーカーオプションで設定できるが、PAへの工場装着オプションの設定は存在しない。
エブリイとエブリイワゴンの違いは何か
エブリイは最大積載量350kgの軽商用バンで、農業・配送・事業用途が主な用途だ。エブリイワゴンは4名乗車専用の乗用車で、左右独立リクライニングのリヤシート・165/60R14の14インチタイヤ・LEDフォグランプを全グレードに標準装備する。安全装備の面でもエブリイワゴンは全グレードにACC・パーキングセンサーが標準で、エブリイのJOINターボ・JOIN以上に限定される水準とは異なる。


