ROADECT
スバル ゲットアウェイ 世界初公開 420馬力の3列フルBEV SUV全解説
ニュース3,050字

スバル ゲットアウェイ 世界初公開 420馬力の3列フルBEV SUV全解説

スバルが2026年4月1日のニューヨークオートショーで、初の3列シート電動SUV「ゲットアウェイ」を世界初公開した。420馬力のデュアルモーターとシンメトリカルAWDを全グレードに標準装備し、航続は約483km。米国では2026年末の発売を予定する。

2026年4月1日、ニューヨークインターナショナルオートショーでスバルが「ゲットアウェイ」を世界初公開した。スバル初の3列シート電動SUVで、420馬力のデュアルモーターとシンメトリカルAWDを標準装備する。このクルマで問われているのは、スペックの話だけではない。「電動化してもスバルらしさを貫けるか」という問いに対するひとつの答えだ。

2027 Subaru Getaway 外観
出典: Subaru of America

ニューヨークで発表されたスバルの新章

2026年4月1日に開幕した2026年ニューヨークインターナショナルオートショーで、スバルはゲットアウェイを発表した。ゲットアウェイはスバルのEVラインナップにとって4番目のモデルにあたり、かつスバル初の3列シート電動SUVだ。

スバルは従来、北米市場向けに3列SUVとして「アセント」を販売してきたが、日本を含む多くの国には導入されなかった実績がある。ゲットアウェイはその後継的な位置づけで、全電動化によってあらためて北米市場向けの大型ファミリー車として打ち出してきた格好だ。

2023年型スバル アセント(北米仕様)
出典: Wikimedia Commons

米国での発売は2026年末を予定している。グレードはプレミアム、リミテッド、ツーリングの3種類で、ツーリングのみ6人乗りとなる。

スバル ゲットアウェイのスペックと走行性能

フロントとリアにそれぞれモーターを配置するデュアルモーター構成で、システム合計出力は420馬力だ。0-60マイル毎時(約0-97km/h)の加速は5秒未満で、ファミリーSUVとしては十分に力強い数字といえる。

バッテリーは2種類が設定される。ロングレンジ仕様は95.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、1回の充電で300マイル超(約483km)を走行できる。スタンダードレンジ仕様は77.0kWhで、ロングレンジに続いて2027年前半に米国で発売が始まる予定だ。

急速充電は150kWの直流充電に対応しており、10%から80%まで約30分での充電が可能だ。充電口規格はNACS(North American Charging Standard)を採用している。テスラのスーパーチャージャーネットワークとも互換性がある。

オフロード性能を支えるシステムとしてX-MODEを搭載する。スノー/ダート、ディープスノー/マッドという2つのモードを持ち、最低地上高は8.3インチ(約211mm)と、舗装外を走ることも想定した設計になっている。

2027 Subaru Getaway 外観
出典: Subaru of America
2027 Subaru Getaway 内装
出典: Subaru of America

BEVになってもAWDを標準にするスバルの理由

ゲットアウェイで最も注目すべき点のひとつは、全グレードにシンメトリカルAWDを標準装備したことだ。多くのBEV SUVが前輪駆動や後輪駆動をベースに設定し、四輪駆動はオプション扱いにしているなかで、スバルはこの判断を変えなかった。

スバルのシンメトリカルAWDとは、エンジン(またはモーター)・トランスミッション・プロペラシャフトが左右対称に配置される構造を指す。もともとはエンジン縦置きレイアウトと組み合わせて4輪に均等に駆動力を配分する設計思想として確立されてきた。ゲットアウェイではフロントとリアのモーターが独立して制御されることで、電動化においてもこの哲学が継承されている。

この選択には現実的な意味がある。アウトドア用途やウィンタードライブを好む北米のSUV購買層にとって、四輪駆動は単なるスペック上の付加価値ではなく、選ぶ理由そのものだ。スバルはトヨタとbZ4Xを共同開発したフルBEVのソルテラでも四輪駆動仕様を主力に位置づけており、ゲットアウェイはその方針をより大型のクラスへ延長した。

関連記事
レヴォーグのBTCC参戦全記録 — 市販ワゴンが英国最高峰で戦った4年間
モータースポーツ

レヴォーグのBTCC参戦全記録 — 市販ワゴンが英国最高峰で戦った4年間

トヨタとのプラットフォーム共用という選択

ゲットアウェイは、2027年型トヨタ ハイランダーEVと同じプラットフォームを共用しているとされる。この関係はソルテラとbZ4Xのそれと同様の構造で、スバルがトヨタのBEVプラットフォームを活用しながら独自のクルマを仕立てる戦略の延長にある。

米国メディアの一部では「リバッジされたハイランダーEV」という評価もある。同じ土台を使っている以上、その指摘は的外れではない。ただし、ゲットアウェイはハイランダーEVより出力が高く、X-MODEや独自チューニングのシンメトリカルAWDを組み合わせることで、スバルとしての運動性能と走破性を上乗せしている。

ソルテラはbZ4Xの上に「スバルの味付け」を施した1台として一定の評価を受けた。ゲットアウェイが同様の方向性でどこまでスバルのキャラクターを表現できるか、実際の走りを確かめるまで判断はできないが、少なくともスペック上の「スバルらしさ」は数字として示されている。

関連記事
ジャガー Type 00 完全解説 EV専業化の決断と100年の歴史
モデル

ジャガー Type 00 完全解説 EV専業化の決断と100年の歴史

日本への展開の可能性

現時点で、ゲットアウェイの日本市場向け展開についてスバルからの公式発表はない。スバルは2026年4月9日に日本でのBEVラインナップ向け別モデル「トレイルシーカー」の発表を予定しており、これはアウトバックの後継的な位置づけのEVとされている。

スバルがかつて北米専用の3列SUV「アセント」を日本に投入しなかったように、ゲットアウェイも北米市場を主眼に置いたモデルである可能性は高い。今後スバルからの追加発表がなければ、「日本市場向けの3列BEV」はゲットアウェイではなく別の形をとることになりそうだ。

スペックまとめ

項目
システム総出力420馬力(デュアルモーター)
駆動方式シンメトリカルAWD(全グレード標準)
バッテリー容量95.8kWh(ロングレンジ)/ 77.0kWh(スタンダードレンジ)
航続距離300マイル超(約483km)※ロングレンジ
DC急速充電150kW(10〜80%:約30分)
充電口NACS
0〜60マイル毎時5秒未満
最低地上高8.3インチ(約211mm)
牽引能力3,500ポンド(約1,588kg)
荷室容量約1,291L(3列折畳時)/ 約2,283L(全折畳時)
定員7人(ツーリングのみ6人)
グレードプレミアム / リミテッド / ツーリング
米国発売2026年末(ロングレンジ)/ 2027年前半(スタンダードレンジ)
価格未発表(米国・日本ともに)

スバルのシンメトリカルAWDの歴史は1972年に遡る。レオーネ 4WD エステートバンに搭載された4WDシステムが原点で、当時は農業や積雪地域での実用性を念頭に開発された。その後、スバルはこの4輪駆動をブランドの核として定義し直し、FF・FR・4WDが混在する自動車業界の中で「四輪駆動専業メーカー」に近いポジションを確立した。電動化の波が押し寄せても、スバルがその一点にこだわり続けている背景には、50年以上かけて積み上げたこの技術資産がある。

スバル ゲットアウェイはいつ日本で発売されるのか

現時点でスバルから日本市場向けの発売に関する公式発表はない。ゲットアウェイは米国向けに2026年末の発売が予定されているモデルで、スバルは別の電動SUV「トレイルシーカー」を同時期に発表予定だ。

スバル ゲットアウェイはトヨタ ハイランダーEVと同じクルマなのか

基本プラットフォームを共用しているとされるが、ゲットアウェイはハイランダーEVより高い420馬力の出力設定と、スバル独自のシンメトリカルAWDおよびX-MODEを標準装備する。外観デザインも独自に仕立てられており、姉妹車ではあるが別のキャラクターを持つモデルとして開発されている。

スバル ゲットアウェイの価格はいくらか

米国・日本ともに価格は未発表だ。米国メディアの一部は中程度の価格帯(5万ドル台中盤、約750〜800万円換算)と推計しているが、公式発表はない。正式な価格は発売時期に近くなってからスバルが発表するとしている。