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新型エクストレイル e-POWER世界初公開 全面刷新で何が変わったか
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新型エクストレイル e-POWER世界初公開 全面刷新で何が変わったか

日産が2026年4月14日、新型エクストレイル e-POWERを世界初公開した。全面刷新となる今回のモデルは、日産独自の電動駆動システム「e-POWER」をさらに進化させ、デザインも全面的に刷新する。詳細なスペックや価格、発売時期は現時点では未発表だ。

日産が2026年4月14日、新型エクストレイル e-POWERを世界初公開した。全面刷新となる今回のモデルは、日産独自の電動駆動システム「e-POWER」をさらに進化させ、デザインも全面的に刷新する。詳細なスペックや価格、発売時期は現時点では未発表だ。それでも、示された技術の方向性とデザインからは、このSUVが目指す次の姿がはっきりと読み取れる。

出典: 日産 新型エクストレイル e-POWER 公式発表動画

エクストレイルが全面刷新

現行のT33型エクストレイルが日本に登場したのは2022年のことだ。e-POWERを全車に搭載した初の世代として注目を集め、電動モーター駆動ならではのスムーズな走り出しと高い静粛性で市場の評価を得た。

そのT33型の後継モデルを、日産は同日開催した長期ビジョン発表会「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」の中でグローバルに初公開した。北米市場では「ローグ e-POWER」として展開される同一モデルで、日産が「グローバル販売の80%以上を支えるコアモデル」と位置づける戦略商品だ。

今回の公開はコンセプト段階であり、詳細なスペックや価格、発売時期は現時点では未発表となっている。

新型エクストレイル/ローグ e-POWER フロント3/4ショット
出典: 日産自動車

エンジンは発電だけ、走りはモーター e-POWERの仕組みをおさらいする

e-POWERという名前は知っていても、その仕組みを正確に語れる人は意外と少ない。

一般的なハイブリッドカーは「パラレルハイブリッド」と呼ばれる方式で、エンジンとモーターが状況に応じて連携しながらタイヤを駆動する。それに対してe-POWERが採用するのは「シリーズハイブリッド」という設計だ。エンジンはタイヤと切り離され、ひたすら発電だけを担う。走行はモーターのみが行う。

この設計がもたらす最大の走行上の利点は、発進から加速にかけての質感にある。モーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮する。発進時のもたつきがなく、スムーズかつ力強い加速はBEVに近い感覚だ。エンジンが常時タイヤを駆動するパラレルハイブリッドとは、根本的にフィーリングが異なる。

そしてBEVとの最大の違いが、外部充電を必要としない点だ。エンジンが走行中に発電するため、ガソリンを給油すれば走れる。航続距離への不安や充電スポットの確保に頭を悩ませずに済む。電動駆動の走りを、既存のインフラでそのまま享受できる。これがe-POWERのポジションだ。

e-POWERがさらに進化する

従来のe-POWERには、高速道路での燃費が課題として挙げられることがあった。高速走行ではエンジンが大きな出力で発電し続ける必要があり、エンジンの回転数が最適範囲を外れると燃費が悪化しやすい。市街地では優秀な数値を叩き出すe-POWERも、高速を長距離走ると効率が落ちるという声が現行オーナーの間でも一定数あった。

新型では「進化したe-POWER」を搭載すると日産は説明している。具体的なエンジン仕様や燃費数値の詳細は現時点で未発表だが、この弱点をどの程度克服しているかは正式発表時の最大の注目点になるだろう。

新型エクストレイル e-POWERのデザイン

今回の全面刷新ということもあり、デザインの変化は大きい。

フロントフェイスは近未来的な意匠を採用した。ヘッドライトは薄型化され、上下に分割された構成でワイド感と先進性を強調する。グリル周辺は立体的な造形に精緻なパターンとLEDシグネチャーを融合させ、電動SUVらしい洗練された表情に仕上がっている。

サイドビューは大径タイヤと彫刻的なキャラクターラインが組み合わさり、タフで力強い印象を作り出す。ボディサイドは光の当たり方によって表情が変わる造形で、立体感のある仕上がりだ。ルーフにはブラックツートンカラーの設定があり、都会的でスポーティな印象を加える選択肢も用意される。

リアには横一文字に伸びるテールランプを採用した。点灯時に水平基調の光が強調される設計で、先進性と視認性を両立している。現行T33型のリアデザインから大きく様変わりした印象で、フロントとの統一感も高い。

新型エクストレイル/ローグ e-POWER サイドショット
出典: 日産自動車
新型エクストレイル/ローグ e-POWER リアショット
出典: 日産自動車

e-4ORCEが加わることで走りはどう変わるか

新型でも「e-4ORCE」が設定される見通しだ。日産独自の電動駆動四輪制御技術で、現行T33型から採用されてきた。

e-4ORCEは、前後それぞれに独立したモーターを持ち、各輪へのトルクをリアルタイムで細かく制御する仕組みだ。コーナリング中に外輪にトルクをかけてアンダーステアを抑えたり、ブレーキ時に前後の配分を最適化して車体姿勢を安定させたりといった制御が可能だ。

単純に「四輪に力が伝わる」だけの従来型の機械式四輪駆動とは、制御の精度と応答速度が根本的に異なる。電動ならではのミリ秒単位の応答性が、日常域での走りの安心感として直結している。雨の日の高速や、凍結路での信頼感が従来型四輪駆動とは一線を画す。

新型は前輪駆動とe-4ORCE搭載の四輪駆動の2バリアントを設定する見通しだ。雪道や山岳路を走る機会が多い環境であれば、e-4ORCE搭載グレードの選択が現実的な意味を持つ。

コアモデルとして世界展開へ

日産はこのモデルを「コアモデル」と位置づけている。端的に言えば、日産の収益と販売台数を支える量販モデルだ。

今回の発表は、日産の長期ビジョン発表会の一環として行われた。欧州向けの新型ジュークEVや、日本市場向けとなる新型スカイラインのティザーなど、複数のモデルが披露された中で、エクストレイル/ローグは最も具体的な姿で登場したモデルとなった。

北米では「ローグ e-POWER」として2027年モデルの年末発売が予定されている。e-POWERは日産にとって北米市場への初投入となる。日本・欧州・アジアで積み上げてきたシリーズハイブリッドの実績を、世界最大級の新車市場に持ち込む。この判断の背景にあるのは、充電インフラが整いきっていない地域でも電動駆動の走りを提供できるというe-POWERの構造的な強みだ。

e-POWERの仕組みは、電気機関車と同じ発想から生まれている。ディーゼル電気機関車はディーゼルエンジンで発電し、その電力でモーターを回してタイヤを駆動する方式で、鉄道の世界では100年以上前から実用化されてきた。重い車体を力強く引き出すのにモーターの特性が優れているためだ。日産e-POWERは、鉄道技術として長年実証されてきたこの考え方を乗用SUVに持ち込んだ形とも言える。

新型エクストレイル e-POWERはいつ発売されるのか

発売時期や価格は現時点で未発表だ。北米では「ローグ e-POWER」として2027年モデルとして年末の発売が見込まれている。日本市場の具体的な発売時期は今後の発表を待つ必要がある。

e-POWERはBEVと何が違うのか

e-POWERはガソリンエンジンで発電しながら走る「シリーズハイブリッド」で、外部充電は一切不要だ。走行はモーターのみが担い、BEVに近いスムーズな加速感を持ちながら、ガソリン給油だけで運用できる。充電インフラが整っていない地域でも使えるという点が、BEVとの最大の違いとなる。

e-4ORCEとは何か

日産独自の電動駆動四輪制御技術で、前後それぞれに独立したモーターを持つ。各輪へのトルクをリアルタイムで制御することで、コーナリング時のアンダーステアを抑え、悪路でも安定した走行を実現する。従来の機械式四輪駆動に比べ、電動ならではのミリ秒単位の応答速度で制御できる点が特徴だ。