新型ジュークEV 日産が欧州向けに初公開 ハイパーパンクを量産化
2026年4月14日、日産は長期ビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」の発表とともに、新型ジュークEVを世界初公開した。欧州市場のコアモデルに位置づけられた3代目は、コンセプトカー「ハイパーパンク」から直接引き継がれた大胆な造形を持つ。2010年に欧州のコンパクトクロスオーバー市場を切り拓いたジュークが、電動化という新たな局面に踏み出す。
2026年4月14日、日産は長期ビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」の発表とともに、新型ジュークEVを世界初公開した。欧州市場のコアモデルに位置づけられた3代目は、コンセプトカー「ハイパーパンク」から直接引き継がれた大胆な造形を持つ。2010年に欧州のコンパクトクロスオーバー市場を切り拓いたジュークが、電動化という新たな局面に踏み出す。
幾何学的なボディ コンセプトをそのまま形にしたデザイン
新型ジュークEVのデザインは、ジャパンモビリティショーで初公開されたコンセプトカー「ハイパーパンク」を直接の起点としている。多面体的に折り畳まれたボディパネル、前後に採用された独自のライトシグネチャーなど、コンセプトカーの造形を量産車へとほぼそのまま引き継いだ形だ。シャープなエッジが交わるボディサイドは、従来のジュークが持っていた彫刻的な処理をさらに先鋭化させている。
通常、市販車へのデザイン落とし込みの過程でコンセプトカーの鋭さやインパクトは薄れる。法規制、製造コスト、量産性の壁が、あのとがった線を丸め込む。ジュークEVはその慣例を外れ、コンセプトの世界観を可能な限り保持したまま市場に出る判断を下した。日産が欧州向けに妥協しないデザインを持ち込む意思は、この一点に表れている。
初代F15型が持つデザインモチーフも残している。2010年に登場した初代のフロントマスクに宿る特徴的な造形は、現代的な解釈を経ながら3代目にも引き継がれた。過去との断絶ではなく、デザインの連続性として新世代を描いている点は、設計者がモデルの歴史に敬意を払っていることを示す。

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CMF-EVプラットフォームの採用と現時点での公式情報
新型ジュークEVは、日産・ルノー・三菱のアライアンスが共同開発した電動車専用プラットフォーム「CMF-EV」を採用するとみられている。このプラットフォームは新型リーフにも使われており、英国のサンダーランド工場でリーフと並行して生産される見通しだ。サンダーランドは日産の欧州主力工場であり、初代ジュークもここで生産された拠点でもある。
日産がこの時点で公式に明かしたのは「大胆で個性的なデザインと先進的な機能の融合」という方向性と、欧州コアモデルとしての位置づけのみだ。バッテリー容量・航続距離・出力などの詳細なスペックは未発表であり、詳細は今後の発表を待つことになる。
日産長期ビジョンとジュークEVが担う役割
今回の初公開は、日産が示した長期ビジョン「モビリティの知能化」と一体で発表された。全車種の90%にAIドライブ技術を搭載すること、現在56ある車種を45に絞り込むことが戦略の主柱だ。商品は「ハートビート」「コア」「成長」「パートナー」の4カテゴリーに分類され、ジュークEVは「欧州のコアモデル」として位置づけられた。グローバル向けのコアモデルに分類された新型エクストレイル/ローグ e-POWERとは、担当市場が明確に分けられている。
そして今回の発表で浮かび上がったもうひとつの現実がある。当初は現行2代目のハイブリッドモデルをジュークEV投入と同時に廃止する計画だったが、欧州でのEV販売の伸びが予測を下回ったため方針を転換し、継続販売を決定した。ジュークEVと旧世代のハイブリッドがサンダーランド工場で並行して生産されるという体制は、EV移行期の実態を正直に映している。段階を急がず、しかし止まらずに前へ進む姿勢だ。
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発売以来150万台 初代から続くジュークの歩み
ジュークは2010年の初代発売以来、通算150万台以上を販売した実績を持つ。日産の欧州販売では、日産の欧州主力SUVであるキャシュカイに次ぐ2番目のベストセラーであり、日産の欧州戦略を長年支えてきた。
初代F15型は2010年の登場時、コンパクトカーのボディにSUVのスタイリングを組み合わせた独自のポジションで欧州市場に切り込んだ。コンパクトクロスオーバーSUVというカテゴリーがまだ確立されていなかった時代に、その先頭に立ったモデルのひとつだ。当時のデザインは賛否を呼んだが、欧州の買い手は個性に反応した。
2代目F16型は2019年に登場し、初代の個性的なプロポーションをやや整理した方向に洗練させた。ハイブリッドモデルを加えて電動化の過渡期を担い、現在もその役割を続けている。3代目のジュークEVは、この16年間の足跡の上に立っている。
日産EVラインナップにおけるジュークEVの位置づけ
日産の現行EVラインナップには、コンパクトハッチバックのリーフと、ミドルサイズのSUVであるアリアがある。ジュークEVはこの2車種の間に位置するコンパクトクロスオーバーSUVとして、ラインナップの隙間を埋める存在となる。
リーフは実用性を前面に押し出したモデルだ。アリアは広さと上質さを軸にしている。ジュークEVが持ち込むのは、この2車種が持たない視覚的な個性と刺激だ。欧州の競合にはフォードのプーマ Gen-EやキアのEV3といったコンパクトSUV型EVが名を連ねる。ジュークEVはスペックの数字よりも先にデザインで差別化を図った。詳細なスペックが明かされたとき、その判断の妥当性が改めて問われることになる。
初代ジューク(F15型)が欧州に登場した2010年、SUVスタイルのコンパクトモデルはまだ少数派だった。このクルマが口火を切ったコンパクトクロスオーバーは今や欧州でもっとも競争の激しいカテゴリーのひとつになった。ジュークを最初に見て首をかしげた者たちも、その後に続いた無数のフォロワーたちを見て、少し表情が変わったかもしれない。
新型ジュークEVは日本で発売されるのか
現時点では欧州向けのコアモデルとして発表されており、日本市場への展開は明らかにされていない。
新型ジュークEVのスペックはどのくらいか
詳細なスペックは日産が未発表としている。CMF-EVプラットフォームを採用するとみられているが、バッテリー容量・航続距離・出力などの数値は現段階では公式に確認できない。


