ROADECT
日野プロフィア一部改良で発売 標識認識を全車標準装備
ニュース2,095字

日野プロフィア一部改良で発売 標識認識を全車標準装備

大型トラックの現場で起きているのは、地味だが切実な変化だ。日野プロフィアの2026年7月の一部改良は、標識の見落としとステアリングの微修正という、ドライバーが日々こなしている小さな負担に着目している。標識認識システムの全車標準化からカントアシスト機能まで、改良の中身とその狙いを整理する。

日野自動車は2026年7月16日、大型トラック・トラクター「日野プロフィア」を一部改良し発売した。速度制限標識を自動検知する標識認識システムを全車に標準装備したほか、道路の傾斜による車両の流れを補正するカントアシスト機能を新たに採用している。ドライバー不足時代への対応を掲げた今回の改良は、安全運転支援と運転負荷軽減の両面から「働く人」に向き合った内容だ。

日野プロフィア トラクター(型式2WG-SH1EDGJ)の外観
出典: 日野自動車株式会社

標識認識システムを全車標準装備、対象型式は2車型

今回の一部改良の対象は、トラック型式2WG-FW1AHGとトラクター型式2WG-SH1EDGJの2車型だ。ただし特殊用途車型は一部機能の対象外となる。

改良の柱は大きく分けて3つある。ひとつは標識認識システムの全車標準装備、もうひとつは日野アドバンスドステアリングへのカントアシスト機能追加、そしてミラーのフレームレス化による視界拡大だ。いずれも「クルマを速く強くする」方向の改良ではなく、ドライバーの安全と負担軽減に焦点を当てている点が特徴的だ。

日野プロフィア トラック(型式2WG-FW1AHG)の外観
出典: 日野自動車株式会社

90km/hの法定速度を守らせる標識認識システム

標識認識システムは、画像センサーが速度制限や車両進入禁止といった道路標識を自動検知し、メーターに表示する機能だ。今回の改良でトラック・トラクターの全車に標準装備された。

このシステムには、大型トラックならではの工夫がある。標識が90km/h以上の速度を示していた場合でも、メーターには日野が「大型トラックの法定速度」と説明する90km/hが表示される仕様になっているのだ。標識の数字をそのまま表示するのではなく、車両区分に応じた実際の制限速度を伝える設計だといえる。速度超過時には警告音でドライバーに注意を促す。

標識認識システムの機能説明図
出典: 日野自動車株式会社

さらに、標識連動型車速制御システムが大部分の車型に設定された。スキャニングクルーズと呼ばれる全車速追従機能の作動中に制限速度標識を検知すると、メーター画面を通じてドライバーに設定車速の変更を提案する。標識を見つけて自分で減速するのではなく、クルマの側から「この先は制限速度が変わりますよ」と教えてくれる仕組みだ。長距離輸送で標識の見落としが起きやすい場面において、速度超過という初歩的なミスを防ぐ支援策になる。

カントアシストとミラーが軽減する運転負荷

日野アドバンスドステアリングには、カントアシスト機能が新たに採用された。カントとは、雨水を路肩側に流すために道路につけられた排水傾斜のことだ。この傾斜があると、クルマは知らず知らずのうちに片側へ流れていこうとする。カントアシスト機能は、その流れをステアリング側で補正し、ドライバーが常に修正舵を当て続けなくても直進を保てるようにする。長距離運転では、この小さな修正動作の積み重ねが疲労につながる。地味な機能に見えるが、体力を使う場面を一つ減らす改良だ。

日野アドバンスドステアリング(カントアシスト機能)の説明図
出典: 日野自動車株式会社

外観面では、一部ミラーにフレームレス仕様が採用された。フレームをなくすことでキャブ周りの間接視界が拡大し、死角の低減につながる。ボディと同色化されているため、対向車から見たときの視認性向上にも寄与する設計だ。

関連記事
日野セレガ改良新発売 21年ぶりのボディ刷新と最新安全装備
ニュース

日野セレガ改良新発売 21年ぶりのボディ刷新と最新安全装備

ドライバー不足時代に応える「総合品質」という発想

日野自動車は今回の改良の背景として、ドライバー不足時代への対応を掲げている。プレスリリースでは、商品そのものの品質とアフターサービスを含めたトータルサポート品質を組み合わせた「総合品質」の追求が、ドライバー不足の解決につながる取り組みだと説明されている。

物流業界では、長時間労働の是正とドライバーの高齢化が同時に進んでおり、限られた人数でいかに安全かつ疲労少なく走らせるかが課題になっている。標識の見落としを減らす仕組みや、ステアリング操作の負担を減らす機能は、派手さこそないものの、その課題に対する現実的な回答だろう。プロフィアはこれまでも安全性能・快適性能・環境性能の3本柱を掲げてきたモデルであり、今回の改良はその延長線上にあると考えられる。

事業者にとっても、この種の改良は日々の運行管理に効いてくる。速度超過や車線逸脱といった初歩的なヒューマンエラーは、事故そのものだけでなく、免許停止や運行停止による稼働ロスにも直結する。標識認識システムや標識連動型車速制御システムのような「気づかせる」技術は、ドライバー個人の注意力に頼らない仕組みとして、車両を運用する事業者側にもメリットが大きいはずだ。

関連記事
いすゞ・ガーラ 2026年型一部改良 安全装備を大幅強化して発売
ニュース

いすゞ・ガーラ 2026年型一部改良 安全装備を大幅強化して発売

対象型式まとめ

項目内容
発売日2026年7月16日
トラック型式2WG-FW1AHG
トラクター型式2WG-SH1EDGJ
主な改良点標識認識システム全車標準化、標識連動型車速制御システム設定拡大、カントアシスト機能追加、ミラーのフレームレス化

「カント」はもともと鉄道や道路の設計で使われてきた工学用語で、カーブや路面に意図的につけられた傾斜そのものを指す。日野プロフィアのカントアシスト機能は、この傾斜がドライバーに与える微妙な影響をステアリング側で吸収する発想から生まれている。

標識連動型車速制御システムとは何か

全車速追従機能のスキャニングクルーズ作動中に制限速度標識を検知すると、メーター画面を通じてドライバーに設定車速の変更を提案する機能だ。標識の見落としによる速度超過を防ぐ狙いがある。

カントアシスト機能とは何か

カントと呼ばれる路面の排水傾斜によって車両が片側に流れようとする動きを、ステアリング側で補正する機能だ。ドライバーが修正舵を当て続ける負担を減らし、長距離運転の疲労軽減につながる。