三菱eKクロスEV 2026年一部改良 1,500W給電とデザイン刷新
軽EVが「電気代が安い」から「走るコンセント」へ進化した。三菱eKクロスEVの2026年6月改良では、最大1,500WのAC100Vコンセントを全グレードにオプション設定し、停電時の非常用電源やアウトドアの電源として使える軽EVへと生まれ変わった。フロントデザインの刷新、Gグレードへのシートヒーター標準化など、幅広い改良内容を価格・補助金とともに解説する。
三菱自動車は2026年6月25日、軽乗用EV「eKクロスEV」の一部改良モデルを発売する。フロントデザインを刷新し、最大1,500Wのアクセサリーコンセントを新たに設定。Gグレードへの快適装備の標準化など、軽EVとしての実用性と訴求力を一段引き上げた内容だ。
eKクロスEV一部改良の主な変更点
最も目立つ変化はフロントデザインだ。グリルレスのフラットな面構成を採用し、フロント全体をひと続きの形状に統一。ホイールアーチとサイドシルガーニッシュをボディ同色化することで、無塗装の黒い樹脂パーツが目立っていた改良前の印象を一新した。LEDイルミネーションをフロントに組み込み、夜間の存在感も高めている。
ボディカラーは2トーン5色・モノトーン2色の全11色に拡充された。選択肢の幅が広がったことで、個人ユーザーへの訴求力が増している。
装備面では、インストルメントパネル下部に充電用USBポートを持つ専用コンソールが設置された。Pグレードにはフロント中央にType-C 2口・Type-A 1口が増設されている。全グレードには「リヤシートアラート機能」が追加された。駐車時に後席に子どもや高齢者が残っていないかを警告するシステムで、車内への置き去りを防ぐ安全機能だ。
最大1,500Wのアクセサリーコンセント
今回の改良でとりわけ実用性を高めたのが、AC100V・最大1,500Wのアクセサリーコンセントだ。インストルメントパネル下部に設置され、全グレードに対してメーカーオプションとして設定可能となる。装着料金は2026年6月22日時点で公式に未公表だ。
出力1,500Wは、炊飯器・電子レンジ・電気ケトルといった家庭の一般的な電化製品のほとんどをカバーできる水準だ。停電時の非常用電源として電化製品を動かしたり、キャンプ地でホットサンドメーカーや電気鍋を使ったりと、車を「走るコンセント」として活用できる。
従来のV2H(Vehicle to Home)は住宅に専用の充放電器と工事が必要で、導入コストが相応にかかる。アクセサリーコンセントは特別な設備なしに電源として使えるシンプルさが利点だ。防災の観点からも、クルマに乗ってさえいれば電源が確保できるという安心感は小さくない。
なお、大出力の家電を長時間使い続けるとバッテリーを消耗するため、翌日以降の走行距離に影響することを念頭に置いておく必要がある。
Gグレードへの快適装備の標準化
Gグレードには、ステアリングヒーターとシートヒーターが標準装備化された。改良前はオプション扱いだったこれらの装備が標準となり、上位グレードを選ばなくてもEVの弱点とされる冬季の快適性を確保できるようになった。
EVはエンジンの廃熱を利用できないため、暖房には駆動用バッテリーの電力を消費し、冬季に航続距離が落ちやすい傾向がある。そうした状況でシートヒーターとステアリングヒーターの存在は大きい。局所的に体を温めることでエアコンの設定温度を抑え、バッテリー消費を減らす実用的な手段になるからだ。
軽EVが「経済性」から「多用途性」へ転換した背景
eKクロスEVと日産サクラは、日産・三菱の共同出資会社NMKVが開発した同一プラットフォームを共有する共同開発の兄弟車だ。日産サクラも2026年4月16日にマイナーチェンジを発表・発売しており、AC100Vコンセントのオプション設定やエントリーグレードの追加といった同方向の改良を行っている。今回のeKクロスEV改良は三菱単独の決断ではなく、NMKVとしての共同戦略だ。
2022年の同時発売以来、軽EVカテゴリは「電気代が安い」「補助金でお得」という経済性の訴求で市場に根付いてきた。今回の改良が「給電・防災・アウトドア」という多用途性へと軸足を移したことは、カテゴリの成熟を示している。三菱自動車はアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVで「使える電源」というブランドイメージを積み重ねてきた。そのDNAをeKクロスEVに注入する改良の方向性は、ブランドとして筋が通っている。
価格と補助金
| グレード | メーカー希望小売価格(税込) |
|---|---|
| P | 3,214,200円 |
| G | 2,662,000円 |
| Gビジネスパッケージ | 2,446,400円 |
国の令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」574,000円を適用すると、最廉価のGビジネスパッケージは約187万円になる。自治体の補助金はさらに別途受けられる場合があり、金額は都道府県・市区町村によって異なる。
主要スペック
| 項目 | 値 |
|---|---|
| モーター | 交流同期電動機 MM48型 |
| 最高出力 / 最大トルク | 47kW / 195N・m |
| バッテリー | リチウムイオン電池 / 総電力量20kWh |
| 一充電走行距離 | 180km(WLTCモード) |
| 消費電力量 | 124Wh/km(WLTCモード) |
| 普通充電時間 | 約8時間(AC200V / 14.5A) |
| 急速充電時間 | 約40分(80%まで) |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 3,395mm × 1,475mm × 1,655mm |
| ホイールベース | 2,495mm |
| 車両重量 | 1,060kg(G・Gビジネスパッケージ)/ 1,070kg(P) |
| 乗車定員 | 4名 |
eKクロスEVに搭載されるバッテリーの総電力量は20kWhだ。日本の一般家庭の平均的な1日の消費電力量はおよそ10〜12kWhとされており、満充電のバッテリーは家庭の約2日分の電力量に相当する計算になる。もちろん走行にも電力を使うため全量を給電に回すことはできないが、停電時に冷蔵庫・照明・スマートフォン充電などに絞れば、アクセサリーコンセント(1,500W)からでも数時間以上の対応が可能だ。
eKクロスEVと日産サクラの違いは何か
両車は日産・三菱の共同出資会社NMKVが開発した同一プラットフォームを共有し、モーター・バッテリー・航続距離などの基本スペックはほぼ共通だ。デザイン、内装、装備体系、ブランドイメージが異なる。2026年はeKクロスEVと日産サクラがほぼ同時期にAC100Vコンセントのオプション設定を行うなど、改良の方向性も一致している。
eKクロスEVの補助金適用後の最低価格はいくらか
2026年6月時点で、国の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」574,000円を適用するとGビジネスパッケージが約187万円になる。自治体補助金はさらに別途受けられる場合があり、都道府県・市区町村によって金額が異なるため、購入前に自治体窓口での確認を勧める。
今回の改良で一充電走行距離は変わったか
今回の改良で一充電走行距離に変更はなく、180km(WLTCモード)のままだ。デザインと装備の充実が主体の改良で、パワートレインとバッテリー容量に変更はない。



