シトロエン2CV復活 全長3.76mの電動コンセプトをパリで公開
シトロエンは2026年のパリ・モーターショーで、電動の2CVコンセプトを公開した。全長3.76m、目標価格は約15,000ユーロから。1948年に発表された2CVの発想を今の電動車へ置き直した提案で、量産モデルの位置づけと商用版のフルゴネットコンセプトまでを整理する。
2026年10月12日から18日のパリ・モーターショーで、シトロエンが電動のコンセプトカー「2CVコンセプト(2 CV Concept)」を公開した。1948年に同じパリのショーで発表された2CVの名と考え方を、全長3.76mの小型電気自動車として現代に呼び戻す提案だ。
シトロエンは、このコンセプトが2028年までにラインナップへ加わる量産モデルの方向性を示すと説明している。目標の販売価格は、約15,000ユーロ(約267万円)からだ。ただし、2CVコンセプトは量産車そのものではなく、詳細は今後あらためて発表される。
商用版の「2CVフルゴネットコンセプト」も、同じ会場で公開された。
シトロエン2CVコンセプトとは
2CVコンセプトは、電動で、簡素で、手頃な小型車というシトロエンの提案だ。シトロエンのCEOは、2CVを再発明するとは過去のクルマを再現することではなく、2CVを唯一のものにした簡素さ、手の届きやすさ、自由を作り直すことだと述べている。
位置づけは、全長2.41mの超小型EVのアミと、小型車のC3の間だ。大型化と高価格化が進む市場に対して、より軽く、効率がよく、実用的で手頃な小型車を掲げる。
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1948年のパリから2026年のパリへ
2CVの始まりは、1936年に動き出したTPV計画にある。TPVは「Toute Petite Voiture」の略で、直訳すると「とても小さなクルマ」だ。1937年の試作車は重さ370kgで、前照灯は1つだけ。4人と荷物50kgを乗せて最高速度31マイル/時(約50km/h)で走り、耕したばかりの畑を横切っても卵のカゴが割れないほど乗り心地がよかったという逸話が残る。
発表は1948年10月7日のパリ・モーターショーで、生産は1949年7月に始まった。1950年には注文が殺到し、納車待ちは最大6年に達した。最後の1台は1990年7月27日にポルトガルのマンガルデ工場を出て、累計は5,114,969台に及んだ。
全長3.76m、目標価格約15,000ユーロ
全長3.76mは、初代の2CVより短い。小さなクルマの軽快さを取り戻し、運転と駐車をしやすくする狙いがある。1980年の特別仕様車2CV 6 Charlestonの全長は3.83mで、2CVコンセプトはそれより7cm短い。
車重は約1トンを目指す。車体が軽ければ必要な電池が小さくなり、費用も抑えられる。航続距離は日常の使い方に合わせ、維持費の低さにもつなげる考えだ。
欧州の最小クラスの電気自動車では、ルノーのトゥインゴE-Tech electricが全長3.79mで、2CVコンセプトとほぼ同じ大きさだ。価格は、補助金を考慮しない基準額で19,490ユーロからだ。2CVコンセプトの目標価格は、それを約4,500ユーロ下回る。
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2CVの面影を残す外観のデザイン
外観は、2CVの輪郭と丸みを引き継ぎながら、線を張りのあるものに改めている。ボディから独立した丸型ヘッドランプ、垂直に立つフロントガラス、緩やかに流れるルーフが、正面と側面の印象を決める。後ろには、初代と同じくバンパーまで黒い面が続くテールゲートが付く。ホイールは2CVに着想を得た18インチのスチール製だ。
外装色は、オレンジを基調に黄色と赤を差した「Infra Red」だ。バンパーはボディから分けて個別に交換でき、量産と修理のしやすさも考えた設計になっている。
ダッシュボードのない室内
室内には、従来型のダッシュボードがない。代わりに円筒状の部品を置き、スポークが1本のステアリング、レバー1本、変速に使うパドル、運転者の視界に必要な情報を優先して映す表示を集めた。8インチの角形タッチスクリーンには、コミックに着想を得たグラフィックが映る。
センターコンソールの位置には、取り外せる収納かごがある。ドアハンドルは柔らかいストラップで、前席は引き出して休憩に使える。布製のサンルーフが光を取り込み、取り外せるラジオ「Radioën」は、スピーカーとして車外にも持ち出せる。シートには、2CVを象徴するタータン柄を黄色で再解釈して張った。
48、90、26 細部に込めた2CVへの敬意
フロントガラスの「48 / 90 / 26」は、2CVが世に出た1948年、生産が終わった1990年、コンセプトを公開した2026年を指す。ペダルの絵柄は、ブレーキがカメ、アクセルがウサギだ。ドアの収納は卵を収める形で、初代の仕様と実用的な工夫への敬意を表している。
クラクションと始動時のモーター音は2CVの音を思わせ、ハート形のステッカーは、この車の人気を表す。ナンバープレートには、世界各国での2CVの愛称が並ぶ。
2028年までの量産モデルとE-Car規制
シトロエンは2026年5月22日、ステランティスの戦略計画FaSTLAne 2030の一環として、2CVの精神を継ぐ新モデルをラインナップに加えると正式に表明した。10月のパリで明かしたのが、その方向性を示す2CVコンセプトだ。量産モデルは2028年までに加わり、欧州で生産する計画になっている。
量産モデルは、将来のE-Car規制にも適合させる。E-Carは、欧州で生産する小型で手頃な電気自動車を指す呼び名だ。欧州委員会は2025年12月16日に、全長4.2m以下の純電気自動車を小型電気自動車として区分する提案を示した。2CVコンセプトの3.76mは、この上限に収まる。
2CVフルゴネットコンセプトとは
商用版の2CVフルゴネットコンセプト(2 CV Fourgonnette Concept)は、2CVコンセプトをもとにした商用車の提案だ。フルゴネットは小型の商用バンを指すフランス語で、初代の2CVにも1951年に商用バンが加わり、職人や商店主、配達員の仕事を支えた。累計5,114,969台のうち1,246,335台が商用バンで、約4分の1を占める。
ただし、このコンセプトは、デザイナーが自発的に取り組んだデザインスタディだ。短期の量産モデルを予告するものではないと、シトロエンは説明している。
2CVの名が戻ってきた意味
1948年の2CVは、象徴になるために作られたのではない。実用的な仕様から生まれ、働き、旅し、ほとんどどこへでも行ける自由を人に与えたことで、象徴になった。2026年のコンセプトは、その発想を今の条件に置き直し、電動で、約1トンを目指す軽さで、約15,000ユーロという価格の目標を答えにした。
形をなぞることより、不要なものを削って必要なことに絞る考え方を引き継いだ点に、この提案の核があると考えられる。ダッシュボードをなくし、操作を円筒に集めた室内は、その表れだ。一方で、約15,000ユーロという目標が量産モデルで実現するかどうかは、これから問われる。
耕したばかりの畑で卵のカゴを割らなかったという初代の逸話を思わせる、卵を収めるドア収納が、2026年のコンセプトに残った。小さなクルマを妥協ではなく設計の出発点にした2CVの発想が、電動の車体で読み替えられた。その行方は、2028年までに示される量産モデルが決める。
2CVコンセプトの主な発表内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車名 | 2CVコンセプト(2 CV Concept) |
| 公開 | 2026年10月12日から18日、パリ・モーターショー |
| 全長 | 3.76m |
| 車重 | 目標は約1トン |
| 位置づけ | アミとC3の間 |
| 目標価格(1ユーロ=178円で換算) | 約15,000ユーロ(約267万円)から |
| 量産モデル | 2028年までにラインナップへ加わる |
1939年のパリ・モーターショーで披露する予定だった量産前の2CVは、250台が造られていた。戦争で発表は中止になり、造った車は壊されたが、4台だけがシトロエンの試験場に秘密裏に保管された。2CVが実際に発表されたのは、その9年後の1948年のことだ。
シトロエンの新しい2CVはいつ発売されるのか
量産モデルは、2028年までにラインナップへ加わるとシトロエンは説明している。2CVコンセプトは量産車ではなく、詳細は今後あらためて発表される。
2CVコンセプトの価格はいくらか
目標の販売価格は、約15,000ユーロ(約267万円)からだ。確定した価格ではなく、量産モデルは欧州で生産する計画になっている。
2CVフルゴネットコンセプトは発売されるのか
2CVコンセプトの商用版にあたるデザインスタディで、短期の量産モデルを予告するものではないと、シトロエンは説明している。本質に絞り、使いやすさを重んじる考え方は、2CVコンセプトと共通する。
この記事について
- 執筆
- ROADECT編集部
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