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ルノー新型トゥインゴE-Tech 初代の顔を継ぐ4代目の電動化
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ルノー新型トゥインゴE-Tech 初代の顔を継ぐ4代目の電動化

ルノーが2025年11月に発表した新型トゥインゴE-Tech electricは、初代1993年モデルの系譜を継ぐ4代目にして初の完全電動専用モデルだ。27.5kWhバッテリーで航続263km、価格は19,490ユーロから。ガソリン車からの転換と日本未導入の現状を解説する。

ルノーは2025年11月6日、パリのシャンゼリゼで新型トゥインゴE-Tech electricを発表した。3代目まで続いたガソリン車の系譜を離れ、初めて完全電動専用モデルとして生まれ変わった4代目だ。丸みを帯びたフロントマスクには、1993年に登場した初代の"スマイル"の面影が色濃く残る。

新型ルノー・トゥインゴE-Tech electric グリーンのフロント斜め、スタジオ撮影
出典: Renault Group

新型トゥインゴE-Tech のEVスペックと価格

新型トゥインゴE-Tech electricは、27.5kWhのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを搭載し、WLTPモードで最大263kmの航続距離を実現する。モーター出力は60kW(82hp)で前輪を駆動する。

充電性能は3段階で用意された。標準の6.6kW AC充電では10%から100%まで4時間15分。オプションの11kW AC充電では、車外への給電(V2L)や住宅への給電(V2G)にも対応する。さらにDC急速充電(50kW)を選べば、10%から80%までをわずか30分で終える。

価格はエントリーグレードのEvolutionが19,490ユーロから、上位のTechnoが21,200ユーロからという設定だ。2026年8月時点のレート(1ユーロ=181円前後)で換算すると、Evolutionはおよそ353万円、Technoはおよそ384万円に相当する。政府補助金を考慮しない基準額であり、実際の購入価格は各国の制度によって変動する。

受注は2026年1月8日から、TechnoとEvolutionの両グレードで一般向けに始まっている。Evolution版は当初2026年春の受注開始が予定されていたが、実際にはTechno版と同じタイミングまで前倒しされた。ボディは全長3,789mmとコンパクトながら、独立式スライド機構を持つ後席と最大360Lのラゲッジスペースを両立させている。全長3,430mmだった初代と比べると359mm伸びており、バッテリーとモーターを収める分だけボディが一回り大きくなったことがうかがえる。

新型ルノー・トゥインゴE-Tech 80 Urban Range Techno、左側面からの全体像(レッド、ドイツで撮影)
出典: M 93 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0 DE)

初代の顔を受け継ぐ丸目デザイン

新型のデザインを率いたのは、デザインプロジェクトディレクターのパウラ・ファブレガット・アンドレウ(Paula Fabregat Andreu)だ。「新しいトゥインゴは新鮮な息吹であり、楽観主義とポジティブエネルギーの泡である」と、その狙いを語っている。

継承の起点になっているのは、1992年に発表された初代トゥインゴの造形だ。丸型のヘッドライトは、フローティング構造のLEDリングとして現代的に再解釈された。1992年モデルの象徴だった丸いドアハンドルも、発光リングを備えた形で蘇っている。テールランプにも、初代の特徴的な形状を思わせるシグネチャーが与えられた。ボディ全体を貫くのは、仕切りをなるべく排して一体の空間として機能させるモノボリュームのシルエットだ。初代が確立したこのフォルムは、33年の時を経てもトゥインゴという名前の骨格として残り続けている。

こうしたデザイン言語は、単なる懐古趣味ではない。ルノーは2020年代に入り、ルノー5・ルノー4といった電気自動車でも、往年の名車のデザイン記号を電動時代に翻訳する手法を続けてきた。トゥインゴのフロントマスクも、その一貫した方針の延長線上にある。1990年代のクルマが持っていた愛嬌を、規制と技術がまるで違う時代にどう成立させるか。新型トゥインゴのフロントフェイスは、その問いに対するルノーなりの答えだ。

初代ルノー・トゥインゴ Phase I フロント正面(ブルー)。1993年発売当時の基本形を示す。新型のデザイン継承元として掲載
出典: Rudolf Stricker / Wikimedia Commons
出典: Renault公式(World premiere Renault Twingo E-Tech electric)

4代目が転換したEV専用プラットフォーム

2014年から2023年まで販売された3代目トゥインゴを知る人には、4代目の駆動方式は驚きかもしれない。3代目はダイムラーとの共同開発によって、スマート・フォーフォーと基本設計を共有していた。エンジンを車体後方に積む後輪駆動、いわゆるRRレイアウトを採用した異色のモデルだ。

4代目E-Tech electricは、この系譜を大きく転換する。ルノー5・ルノー4 E-Techと同じAmpR Smallプラットフォームを採用し、モーターを前方に置く前輪駆動へと切り替わった。ガソリン車として最後まで独自路線を貫いた3代目から、電動車として兄弟車と基盤を共有する4代目へ。トゥインゴという名前が背負ってきた設計思想は、ここで大きな節目を迎えている。

一方で変わらないものもある。生産拠点だ。3代目に続き、4代目もスロベニア・ノヴォメストのRevoz工場で生産される。スロベニア政府によると、同工場はルノーにとってフランス国外で初めての完全EV専用工場になるという。RR方式からEV専用プラットフォームへと駆動方式は一変しても、この街で車体を組み立てるという歴史は途切れていない。

車重にも転換の跡が表れている。初代は790kgからという軽さが持ち味だったが、4代目はバッテリーを床下に敷き詰める構造上、車重が1,200kg前後まで増えている。もはや「軽さ」を武器にした車ではない。その代わりに、27.5kWhという限られた電池容量で、実用的な航続距離とコンパクトな車体をどう両立させるか。それが4代目にとっての新しい設計課題になっている。

価格・発売時期と日本導入の行方

ルノーが新型トゥインゴで掲げているのは、電動モビリティの民主化だ。トゥインゴの事業を率いるグレゴワール・ジネは「2万ユーロ未満のこの価格帯で、上位セグメント並みの装備を搭載した」と説明する。実際、Google組み込みのマルチメディアシステムOpenR Linkは、Aセグメントとしては初めての搭載例だ。最大24種類の運転支援システムと前後12個のセンサーを備え、セグメント初とされる自動駐車機能も用意されている。

欧州の都市型EV市場では、シトロエンëC3やダチア・スプリングなど、2万ユーロ前後の価格帯を狙うモデルがすでに競い合っている。新型トゥインゴはその中で、価格の安さそのものよりも「初代から続く愛嬌のあるデザイン」という情緒的な武器を前面に出している。

新型トゥインゴE-Tech electricは、2026年1月8日の受注開始を皮切りに、欧州での市場投入が進んでいる。ただし、2026年8月時点で日本導入についてルノー・ジャポンからの正式な発表はない。3代目トゥインゴの日本仕様は、2023年をもって生産を終了している。1995年にヤナセが正規輸入を始めて以来続いてきた日本での販売の歴史は、現時点でいったん途切れた状態にある。

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初代の設計思想を電動で受け継ぐ意味

初代トゥインゴが体現したのは、「小さいから妥協する」のではなく「小さいからこそ徹底的に設計する」という姿勢だった。4輪を車体の四隅に配置し、限られたボディに最大限の室内空間を詰め込む。その発想は、2代目・3代目を経る中で一般的なパッケージへと形を変えていった。

4代目が受け継いでいるのは、寸法や機構そのものではなく、初代が残した表情だ。丸いヘッドライトとドアハンドル、仕切りの少ないモノボリュームのシルエット。電動化という大きな技術転換の中でも、これらのデザイン記号をあえて選び取ったことは、トゥインゴというブランドが何を大切にしてきたかを物語っている。

独立式にスライドする後席も、初代が確立した可変シートアレンジの発想を思い出させる。荷物の量や同乗者の体格に合わせて座席の位置を選べる。その発想は、駆動方式もボディサイズも変わった4代目の中にも、確かな形で残っている。パワートレインが変わっても、笑顔は変わらない。33年前に生まれたその発想が、電動時代にもう一度形になった。

初代トゥインゴのボンネットには、3つの小さな開口部があった。エンジンの熱を逃がすための実用的な穴だ。新型E-Tech electricにもこの3つの開口部はそのまま残されているが、電気モーターに大がかりな冷却の穴は必要ない。ルノーはこれを機能ではなく「レガシーへのトリビュート」と位置づけている。かつて必要だった穴が、今はデザインの記憶として残されている。

新型トゥインゴE-Tech electricの価格と発売時期は

欧州価格は政府補助金適用前で、エントリーのEvolutionが19,490ユーロから、上位のTechnoが21,200ユーロからだ。両グレードとも2026年1月8日から一般受注が始まり、欧州での市場投入が進んでいる。

新型トゥインゴはなぜ初代に似たデザインなのか

1993年の初代が確立した丸型ヘッドライトや"スマイル"のフロントフェイスを、LEDリングなど現代の技術で再解釈しているためだ。仕切りの少ないモノボリュームのシルエットも、初代から続く基本フォルムを踏襲している。

新型トゥインゴは日本で買えるのか

2026年8月時点で、日本導入についてルノー・ジャポンからの正式発表はない。前モデルの3代目は2023年に日本向け生産を終了しており、日本での販売はいったん途切れている。