アルファ ロメオ Cuorerosso世界初公開 2028年以降の新型車の指針
「Cuorerosso(クオーレロッソ)」は、アルファ ロメオがパリ・モーターショーで世界初公開したコンセプトカーだ。市販車の予告ではなく、2028年以降の新型車に通じる設計思想を形にした1台である。造形と操作系、V6フルハイブリッドの構想から、その狙いを読み解く。
アルファ ロメオは2026年10月12日に開幕したパリ・モーターショーで、コンセプトカー「Cuorerosso(クオーレロッソ)」を世界初公開した。全長4.7mの2+2クーペだが、アルファ ロメオはこれを市販車の予告ではなく、これからのクルマづくりを語る宣言と位置づけている。
軸になるのは、設計思想の「Bellezza Necessaria」だ。2028年以降のすべての新型アルファ ロメオを、この思想で形づくっていく方針である。
アルファ ロメオ Cuorerosso 世界初公開
Cuorerosso は、心臓を意味するイタリア語の「Cuore」と、赤を意味する「Rosso」を組み合わせた名前である。心臓は感情の象徴、赤はスポーティさの同義語であり、2つが同じ鼓動を刻むという意味が込められている。
発想の源は、仕立ての技とデザインの伝統を持つイタリア、躍動感と運転する楽しさへ向かう緊張感としてのスポーティさ、ブランドの歴史に欠かせない性能と情熱の象徴である赤の3つだ。
新デザイン言語 Bellezza Necessaria
「Bellezza Necessaria」は、アルファ ロメオ自身が名づけた設計思想で、英語では「Necessary Beauty」と表される。余分なものを削ぎ落として本質だけを残し、美しさ、機能、技術、品質を1つの言語にまとめる。
造形の進め方にも、この思想が表れている。トリノにあるデザイン部門のCentro Stileは、初期スケッチを1〜2週間で切り上げ、車輪も窓も細部もない1つの塊から、テーマ、プロポーション、立体の量感に集中して形を削り出していった。
アルファ ロメオとマセラティのサント・フィチリCEOは「これが私たちの考えるBellezza Necessariaだ。運転を愛する人のために設計され、時代を表現しながら、同時にアイコンにもなるクルマをつくることである」と語っている。

日産Vモーションの進化史 2013年誕生から現行デザインまで
伝統の意匠を受け継ぐ外装と空力
Cuorerosso は4つの独立したシートを備える2+2クーペで、グランツーリスモの性格とスーパーカーのような存在感を併せ持つ。側面を貫くくさび形のラインは、後端を切り落とした形の「Coda Tronca」へつながる。空力効率の追求を象徴する、アルファ ロメオ伝統の意匠だ。空気抵抗係数は0.28で、数値が小さいほど走行中に受ける空気の抵抗が少ない。
正面では、中央の盾形グリル「Scudetto」と左右のヘッドライトが「Trilobo」を構成し、顔をつくる。グリルに編み込まれた三角形の小さな発光部は、心臓の鼓動のように脈打つ光を放つ。
ドアに取っ手はなく、ルーフのタッチ式スイッチで開く。後席のドアは風に逆らう向きに開く。
ボディ色の「Liquid Ink Red」は、微細なアルミニウムの下地に透明な着色層を重ねた塗装で、光が当たると鮮やかな赤に、見る角度が変わると黒に近い色調に見える。
運転に合わせて形を変えるコックピット
室内の中心は、ドライバーの正面にある「Cannocchiale Vivente」だ。ブランドを象徴する意匠を発展させたメーターで、機構が動いて配置を変える。2つのメーターが並ぶ「Immersivo」から、2つが物理的に1つへ合体する「Concentrato」へ切り替わり、運転への没入度が高まるにつれて表示は必要な情報だけに絞られる。
ステアリングは、ハンドルと車輪を機械的につながず電気信号で操舵するステアバイワイヤだ。これを3本スポークの形で現代風に解釈した「Con-tatto Volante」は、触覚と音のフィードバックで人とクルマの物理的な結びつきを保つ。センタートンネルの「Magma Display」は、タッチ面にダイヤルやスイッチを組み合わせた操作パネルで、必要になるまで画面と操作系を目立たせない。
走行体験は「Cruise」「Sport」「Quadrifoglio」の3つで、人とクルマの関わり方がモードごとに変わる。
ダッシュボードの造形は、1967年の33 ストラダーレと、新たに登場した同名のモデルに着想を得た。素材には、ポルトローナ・フラウのヌバックや、高級な内装材の加工で出る廃材を60%含む再生レザーを使う。
V6ハイブリッドが示す電動化の姿勢
高性能版の構想として示されたのは、2.9リッターV6のフルハイブリッドに、四輪駆動のQ4、トルクコンバーター式の変速機、カーボン製のドライブシャフトを組み合わせた構成だ。ただし、性能の頂点として「想像できる」構成という位置づけだ。
その先に見据えるのは、この1台に限らない幅広い選択肢である。フル電動、プラグインハイブリッド、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドに対応できる柔軟な構造で、全長4.7mまでのモデルを主要なセグメントに広げていく方針だ。
電動化には、クルマへの愛を保つだけでなく増幅させる役割を与える。技術がどう変わっても、焦点は運転する人と感情に置く。
Cuorerosso は市販車の予告ではなく宣言
Cuorerosso で具体的に描かれているのは、設計思想、造形、操作系、素材といった、クルマの作り方に関わる部分だ。パワートレインは高性能版の構成を1つ示すにとどまり、発売時期や価格はこの発表に含まれない。
ここまでの事実から、この発表の主題は数値の競い合いではなく姿勢にあると考えられる。運転する人の感情を起点にクルマを設計し直し、2028年以降の新型車へつなげる。Cuorerosso は、その最初の1台と読める。
関連記事
Acura NEXERA Vision初公開、次期RDXにデザイン継承
Cuorerosso には「Senza cuore saremmo solo macchine」という言葉が添えられている。心臓がなければただの機械になる、という意味だ。車名の由来から、グリルで脈打つ光、運転席に近づくほど赤が濃くなる室内まで、鼓動という1つの比喩が全体を貫いている。クルマは感情で選ぶものだという立場を、アルファ ロメオは電動化の時代にも手放していない。
Cuorerosso の主な諸元
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全長 | 4,700mm |
| 全幅 | 1,980mm |
| 全高 | 1,331mm |
| ホイールベース | 2,930mm |
| 重量 | 1,750kg |
| 空気抵抗係数(Cx) | 0.28 |
| パワートレイン構想 | 2.9リッターV6フルハイブリッド、Q4四輪駆動 |
| サスペンション | エアサスペンション |
| ブレーキ | ブレンボ製カーボンセラミック、アルファ ロメオ専用キャリパー |
助手席側のダッシュボードには、車から降りるときに持ち出せる取り外し式のバッグが収まっている。固定するストラップがそのまま持ち手になる設計は、すべての部品に明確な役割を与えるという Bellezza Necessaria の思想に沿ったものだ。Cuorerosso の体験を車室の外へ広げる細部でもある。
Cuorerosso とは何か
2026年10月12日に開幕したパリ・モーターショーで世界初公開された、全長4.7mの2+2クーペのコンセプトカーである。車名は、心臓を意味するイタリア語の「Cuore」と、赤を意味する「Rosso」を組み合わせた。
Cuorerosso は市販されるのか
市販モデルを予告するものではない。この発表に、量産や発売時期、価格の情報は含まれない。
Cuorerosso のパワートレインは何か
高性能版の構想として、2.9リッターV6のフルハイブリッドにQ4四輪駆動を組み合わせた構成が示された。ただし「想像できる」構成という位置づけである。
この記事について
- 執筆
- ROADECT編集部
- 公開



