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WRX STI Sport♯(シャープ)6速MT搭載コンプリートカー発売 600台限定抽選販売
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WRX STI Sport♯(シャープ)6速MT搭載コンプリートカー発売 600台限定抽選販売

スバルテクニカインターナショナルが2026年4月9日に発表したWRX STI Sport♯は、現行WRX日本仕様として初めて6速MTを搭載する600台限定のコンプリートカー。価格610万5,000円、brembo製ブレーキ、ZF製電子制御ダンパー装備。抽選受付は2026年5月17日まで。

2026年4月9日、スバルテクニカインターナショナル(STI)はコンプリートカー「WRX STI Sport♯(シャープ)」を発表した。現行WRX(VB型)の日本仕様として初めて6速マニュアルトランスミッションを搭載し、600台限定の抽選販売を同日から開始している。

WRX STI Sport♯ — ギャラリー
出典: SUBARU

現行WRX日本仕様に6速MTが載った背景

現行WRXが2021年11月に日本市場に登場したとき、変速機の選択肢はCVTのみだった。北米仕様のWRXには6速MT車が設定されているにもかかわらず、日本仕様にMTが届かない状況は、MT好きのスバルファンにとって長年の不満でもあった。

STIはこの北米向けWRXのMT仕様を活用し、コンプリートカーという形で日本市場への6MT投入を実現した。開発の指針として掲げられたのは「走る愉しさ」と「もっと気軽に愉しめるクルマ」というコンセプトだ。

2025年に登場したSTIコンプリートカーのS210は、ニュルブルクリンク24時間レースの参戦知見を凝縮した300PS・870万円の極限仕様だった。対してSTI Sport♯は、275PSのエンジン出力はベース車と同一のまま、シフト操作という駆動の根幹に焦点を絞った。ドライビングの愉しさへのアプローチが、2台では明確に異なる。

価格は610万5,000円(税込)。ベースとなるWRX S4 STI Sport R EX(502万7,000円)から約108万円の上乗せで、6速MT、bremboブレーキ、ZF製電子制御ダンパー、バランスドエンジン仕様が手に入る。

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STI Sport♯のスペックと主要装備

エンジンはFA24型水平対向4気筒2.4Lターボ。最高出力275PS・最大トルク350Nmという数値はベース車と変わらないが、STIがエンジン内部に施した処理がこのモデルの核心のひとつだ。

ピストンとコンロッドの重量公差を通常比50%に低減し、クランクシャフト・フライホイール・クラッチカバーのバランス取りを加えた「バランスドエンジン」仕様となっている。エンジン内部を回転する各部品の重量差を最小化することで、吹け上がりの滑らかさと高回転域の振動を抑える。数値スペックには現れない差異だが、MT車で自らシフトを操る場面でこそ体感に直結する処理だ。

項目仕様
エンジンFA24型 水平対向4気筒2.4L DOHC ターボ(バランスド仕様)
最高出力275PS / 5,600rpm
最大トルク350Nm / 2,000〜5,200rpm
変速機6速マニュアル
駆動方式シンメトリカルAWD
ブレーキ(前)brembo 対向6ポット・ドリルドローター(ゴールドキャリパー)
ブレーキ(後)brembo 対向2ポット・ドリルドローター(ゴールドキャリパー)
サスペンションZF製電子制御ダンパー(専用チューニング)
タイヤ245/35R19 ブリヂストン ポテンザ S007
ホイール19インチアルミ(マットグレー塗装)
車両重量1,560kg

制動系にはbremboの対向6ポット(前)・対向2ポット(後)を採用し、前後ともドリルドローターを組み合わせる。ゴールド塗装のキャリパーは視覚的な存在感を持ちながら、19インチホイール越しに確認できるスポーツカーとしての主張でもある。

サスペンションはZF製電子制御ダンパーの専用チューン仕様を装着する。ZFはドイツの自動車部品大手で、走行状況に応じて減衰力を自動調整するダンパー技術に定評がある。車体剛性の面ではSTI製のフレキシブルドロータワーバー(フロント)とフレキシブルスティフナー(前後)を追加。ボディのねじれを抑えることでハンドリング応答を高める、STIコンプリートカーの定番処理だ。

タイヤはブリヂストンのポテンザ S007を245/35R19サイズで装着する。ドライグリップと耐久性を両立したスポーツタイヤで、日常域からサーキット走行まで対応する銘柄だ。

シートはRECAROのウルトラスエード製。イエローの穿孔模様とSTIロゴが入り、シフトノブとサイドブレーキレバーは本革巻き仕様となる。

WRX STI Sport♯ 外観 — WRブルー・パール
出典: SUBARU

600台限定抽選販売の概要

申込期間は2026年4月9日から5月17日まで。全国のSUBARU販売店で抽選エントリーを受け付ける。

ボディカラーはWRブルー・パール、セラミックホワイト、サンライズイエローの3色。WRブルー・パールとセラミックホワイトの価格は610万5,000円(税込)で、サンライズイエローのみ5万5,000円増の616万円(税込)となる。

600台という台数は、前身となる2020年版(VA型・500台)と2024年版(VB型・500台)をいずれも上回る設定だ。

「STI Sport♯」の系譜とWRブルーの意味

WRX STI Sport♯ — ギャラリー
出典: SUBARU

「STI Sport♯(シャープ)」という名称は、今回が初出ではない。2020年には前世代のVA型WRX S4をベースとした500台限定モデルとして登場し、2024年1月には現行VB型をベースにRECAROシートやSTI製ホイールを組み込んだCVT仕様500台が続いた。

2026年版は系譜3代目にあたり、シリーズとして初めて6速MTを搭載する節目のモデルだ。「気軽に楽しめる走る愉しさ」を担うSTI Sport♯が、MTを手に入れるまでに3世代を要した。

ボディカラーのひとつであるWRブルー・パールは、スバルがWRC(世界ラリー選手権)に参戦した1993年にルーツを持つ。雪上・砂上・石畳の上でも視認されるよう設計されたこの青は、当時の555タバコスポンサーのイエローと組み合わさり、「スバルのラリーカー」という視覚記号となった。

2014年のWRXモデルチェンジとともに、カラーは赤みを加えた鮮やかな「WRブルー・パール」へと進化した。スバルの参戦フィールドがWRCからSUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースへ移行したことを反映した変化だ。今もWRXのボディにこの青が選択肢として残っている理由は、スバルが走ってきた場所の記憶そのものだ。

WRブルー・パールのWRXセダンが山岳ワインディングロードを走るシーン。WRC以来続くスバルの青を象徴するイラスト

STIのバランスドエンジンでは、1基のエンジン内に4本あるコンロッドの重量公差を量産比で50%低減する。回転中の部品重量が均一に近いほど、高回転時に生じる不均一な慣性力が抑えられる。F1マシンやレーシングエンジンでは当然の工程とされるこの精度管理が、公道向けのコンプリートカーに施されているのがSTIの流儀だ。

WRX STI Sport♯はどこで申し込めるか

全国のSUBARU販売店で2026年4月9日から5月17日まで抽選エントリーを受け付けている。限定600台の生産で、申込後に抽選が実施される。

STI Sport♯とS210の違いは何か

S210は300PSにチューンアップされたエンジンとニュルブルクリンク24時間レースの参戦知見を凝縮した870万円の極限仕様コンプリートカーだ。STI Sport♯は275PSのエンジン出力をベース車と同水準に保ちながら、6速MTと高品位な足回りを軸に「気軽に愉しめる走り」を標榜し、価格も610万5,000円に抑えている。性能の頂点か、MTで操る日常かで選択肢が分かれる。

WRX STI Sport♯に6速MTが搭載された理由は何か

現行WRXの日本仕様はこれまでCVTのみだった。北米向けWRXには6速MTが設定されており、STIはその仕様を活用してコンプリートカーとして日本市場に投入した。通常の量産仕様とは異なるSTIコンプリートカーというかたちだからこそ実現できた仕様だ。