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メルセデス・ベンツ新型Cクラス EV発表 メルセデスがEQではなくCクラスの名を選んだ理由
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メルセデス・ベンツ新型Cクラス EV発表 メルセデスがEQではなくCクラスの名を選んだ理由

メルセデス・ベンツが2026年4月20日、主力セダン Cクラス の電動版を韓国・ソウルで世界初公開した。グレード名は C 400 4MATIC Electric、800V・94kWh・WLTP最大762kmのスペックで、新プラットフォーム MB.EA-M を採用する。EQブランドを冠さず Cクラスの名を選んだ戦略的意味を読み解く。

メルセデス・ベンツが主力セダン Cクラス の新型モデルを2026年4月20日、韓国・ソウルで世界初公開した。初のフル電動モデルで、グレード名は C 400 4MATIC Electric。注目すべきは、EQを冠さない「Cクラス」そのものの名で出したことだ。

新型電気Cクラス 公式プレスリリース メインビジュアル
出典: Mercedes-Benz USA

ワールドプレミアで示された新型電気Cクラスの全容

発表時点でのフラッグシップグレードは、C 400 4MATIC Electric の1本立て。94kWhの駆動用バッテリーと800V電気アーキテクチャを組み合わせ、システム総出力は360kW(482馬力)。ヨーロッパのWLTP基準で最大762kmの航続距離を公称する。

DC急速充電は最大330kWに対応し、10分の充電で約325km分の走行距離を回復できる。10-80%までの充電時間はおよそ22分。高速道路のサービスエリアで昼食を取るあいだに、実用圏内まで戻せる水準だ。

プラットフォームはMB.EA-Mと呼ばれる新しいEV専用アーキテクチャで、2025年9月に発表された電動SUVのGLCと共通している。ホイールベースは約2,962mmで、内燃機関のCクラスより約97mm長い。

C 400 4MATIC Electric ワールドプレミア公式写真
出典: Mercedes-Benz USA

EQではなくCクラスの名を選んだ意味

2021年にEQSを皮切りに立ち上げたEQサブブランドは、当初「電気自動車専用の上位レンジ」として位置付けられていた。EQE、EQA、EQB、EQCが順に投入され、内燃機関モデルと棲み分けを図る戦略だ。

ところが販売は伸び悩んだ。EQCは早期に生産終了し、EQEも販売台数が振るわない。ブランドとしてのEQが、顧客に「Cクラス」や「Eクラス」ほどの重みで受け止められなかったのだ。

今回の新型は、その反省を明確に反映している。ブランド本流の名前を、そのまま電動モデルに冠する方針へ転じたことになる。

この変更は単なるマーケティング上の判断ではない。Cクラスという看板は、1982年の初代W201登場から40年以上かけて積み上げられてきた信頼そのものだ。それを電動モデルに直接委ねるということは、メルセデスが電動化を「特別な選択」ではなく「Cクラスの次の章」として語り直す意志を示したことを意味する。

C 400 4MATIC Electric ワールドプレミア公式写真 別アングル
出典: Mercedes-Benz

継承されたものと、変わったもの

新型電気Cクラス デザイン/エクステリア公式写真
出典: Mercedes-Benz USA

外観は、同じMB.EA-Mプラットフォームを使うGLCと共通する新しいメルセデス顔を採用した。LED照明を組み込んだ大型グリルが正面を支配し、リアには4つの丸型テールランプが並ぶ。これらが光るとメルセデスのスリーポインテッドスター、つまり三叉の星のマークをかたどる。

伝統的な3ボックスセダンのシルエットは守られている。しかし、電動化に合わせてフードが低く、ルーフからリアへ流れる線がなだらかになり、EQEに近い空力志向のプロポーションへ寄った。Cd値0.22からという数値が、その造形の意図を裏付けている。

新型電気Cクラス インテリア シームレス一体ディスプレイ
出典: Mercedes-Benz USA

インテリアは、ダッシュボード全幅を覆うシームレスなディスプレイを中心に再構成された。従来の3分割レイアウトは姿を消し、運転席から助手席までが1枚のガラス面で結ばれる。搭載OSはAIを組み込んだMB.OSで、走行中の状況や音楽、室内のアンビエントライトを連動させるサウンドビジュアライゼーション機能を搭載する。

走りの面では、従来のCクラスが重視してきた上質な乗り心地に、運動性能の要素が加わった。オプションで選べるAIRMATICエアサスペンションと後輪操舵が、フルサイズに近い車体にもかかわらず軽快な取り回しを支える。発表資料は「これまでで最もスポーティなCクラス」と位置付けており、BMWの電動3シリーズであるi3と真正面からぶつかる構えだ。

BMWもまた、電動SUVのiX3を2025年のドイツ国際モーターショーIAAで公開し、その後にセダンのi3を続けて発表している。電動時代の主力セダンが、ドイツ2強でほぼ同時に世代交代を迎えている状況だ。

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出典: Mercedes-Benz

Cクラスの初代モデルが登場したのは1993年だが、ルーツをたどれば1982年の「190」シリーズに行き着く。この190は、当時のBMW 3シリーズに対抗するため、メルセデスが初めて手がけたコンパクトセダンだった。小型車の開発にメルセデスが本気を出した結果、40年以上にわたるCクラスの歴史が生まれた。今回の電動Cクラスは、その系譜の次の1台にあたる。

新型電気CクラスとEQEはどう違うのか

新型電気Cクラスは2026年4月に発表された最新のMB.EA-Mプラットフォーム車で、94kWhバッテリー・800V・WLTP 762kmを公称する。一方、2022年登場のEQEは90〜96kWhバッテリーで航続622〜691km。新型電気Cクラスの方が航続・充電速度・出力のいずれでも上回っている。

内燃機関のCクラスは生産終了するのか

メルセデス・ベンツは現時点で内燃機関Cクラスの終了時期を公式には発表していない。電動モデルと併売される見通しが高いが、具体的なラインナップ整理は続報待ちだ。

なぜ今回はEQを冠さずCクラスの名で出したのか

EQサブブランドは販売台数が伸び悩み、ブランドとしての重みが内燃機関モデルほど顧客に届かなかった。ブランド本流のCクラスの名を電動モデルに直接与えることで、電動化を「特別な選択」ではなく「Cクラスの次の章」として位置付け直した。

日本ではいつ発売されるのか

メルセデス・ベンツ日本の公式発表はまだない。米国2027年前半・欧州2026年5月受注開始というスケジュールを踏まえると、日本は2027年中の投入が目安になる可能性があるが、正式発表を待つ必要がある。