新型シトロエン C5 AIRCROSS 発売 48Vマイルドハイブリッドで何が変わったか
2026年4月、シトロエン C5 AIRCROSSは全長165mmの拡大とパワートレインの刷新を同時に果たして第2世代に移行した。1.2Lガソリンターボと48Vマイルドハイブリッドの組み合わせでWLTC燃費19.4km/Lを達成しつつ、PHCサスペンションという快適性の哲学を引き継いでいる。価格はPLUS 535万円、MAX 570万円。
シトロエン C5 AIRCROSS の2世代目が、2026年4月16日に日本市場で発売された。価格はPLUSグレードが535万円、MAXグレードが570万円。前モデルから最も大きく変わったのはパワートレインだ。2.0リットルのディーゼルエンジンに代わり、1.2リットルのガソリンターボと48Vマイルドハイブリッドの組み合わせが採用された。ボディは165mm延び、インテリアも一新されている。
ディーゼルから48Vマイルドハイブリッドへ
前モデルの C5 AIRCROSS に搭載されていたのは、2.0リットルのクリーンディーゼルエンジンだった。最高出力177ps、最大トルク400Nmというスペックは、低回転から力強くトルクが立ち上がるディーゼルらしい特性を持っていた。なお2020年にはガソリン車も追加設定されている。
新型はエンジンを1.2リットルの3気筒ガソリンターボに切り替え、48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた。システム最高出力は100kW(136ps)、最大トルクは230Nmで、数値だけを見ると前モデルより小排気量・低出力への転換だ。変速機は6速のデュアルクラッチに変わっている。
なぜこの変化が起きたのかをステランティスジャパンは公式に説明していない。ただ欧州の自動車市場では、排気ガス規制の強化を背景にディーゼル車の販売が減少し続けている。グローバルでは電気自動車や充電式プラグインハイブリッドも展開する新型 C5 AIRCROSS だが、日本市場向けには48Vマイルドハイブリッドのガソリンエンジン車のみが選択されている。
48Vマイルドハイブリッドとは何か
「ハイブリッド」という言葉はつくが、プリウスのようなフルハイブリッドや、コンセントで充電するプラグインハイブリッドとは仕組みが異なる。48Vマイルドハイブリッドは、エンジンに電動モーターを組み合わせて燃費を改善する補助的な電動化だ。バッテリー容量は0.9kWhと小さく、モーターだけで走行することはできない。
働きはシンプルだ。ブレーキを踏んだときの減速エネルギーを電気に変えてバッテリーに蓄え、アクセルを踏んだ加速時にそのエネルギーでエンジンをアシストする。信号待ちや低速渋滞ではエンジンを止め、補機類の電力をバッテリーで賄う。公式の説明によれば、市街地走行の最大50%の時間でエンジンが停止する状態を実現できる。
その結果、WLTCモードの燃費は19.4km/Lを達成している。市街地モードでも15.8km/Lだ。
最大トルクは230Nmと前モデルの400Nmから大幅に減少しているが、最大51Nmのモーターアシストが低速域の発進をフォローする。ディーゼルの太いトルクとは性格の異なるパワートレインだが、燃費と電動化コストのバランスを取る現実的な選択として理解できる。
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乗り心地を届けるPHCサスペンション
シトロエンが長年にわたって守り続けてきた快適性の核心は、PHCサスペンションにある。PHCは「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」の略で、サスペンションが大きく動いたとき、その末端部に組み込まれた液圧式ピストンが段階的に衝撃を吸収する技術だ。一般的な硬いゴムのバンプストップとは異なり、路面の凹凸で車体がバウンドした際の最後の衝撃をなだらかに受け止める。
後輪のサスペンション形式はトーションビームで、PHCはそのストロークエンドに組み込まれている。フロントはマクファーソンストラットを採用している。シトロエンはこの乗り心地を「魔法の絨毯」と表現してきた。新型における具体的な変更点は公式に明かされていないが、165mm延びたボディと1,630kgに増した車重に対応した調整がなされていると考えられる。
13インチスクリーンとC-Zenラウンジ
ダッシュボード中央に立つ13インチの縦型タッチスクリーンは、縦長の画面比率によって地図と各種設定を同時に大きく表示できる。ステランティスジャパンは「Stellantisグループ最大級のサイズ」と説明している。操作系のデジタル化が進む中で、シトロエンのインテリアがどこに軸足を置くのかを示す選択だ。
MAXグレードには「C-Zenラウンジコンセプト」が採用される。水平基調のレイアウトに、背もたれとサイドサポートのパッド厚を15mmとしたシートを組み合わせる。シートヒーター・ベンチレーション・マッサージ機能を備え、8色から選べるアンビエントライトが空間を仕上げる。PLUSグレードにはLEDヘッドライト、MAXにはシトロエン初採用となる自動配光制御付きのLEDマトリクスヘッドライトが搭載される。
PLUSとMAXの選び方
35万円の価格差に対して、MAXで追加される主な装備は以下のとおりだ。
LEDマトリクスヘッドライト、ヘッドアップディスプレイ、急な下り坂での速度制御機能を備えたグリップコントロール、ステアリングヒーター、スマートフォンのワイヤレス充電器、オールシーズンタイヤ、アレルゲン除去フィルター付きエアコン、そしてシートのC-Zenラウンジ仕様化。
両グレード共通で、360度カメラ、渋滞追従機能付きのアクティブクルーズコントロール、車線維持アシスト、ブラインドスポットモニターを備える。誤発進抑制サポートもシトロエン初採用として全グレードに標準装備される。
荷室容量は565Lで、後席を倒せばさらに拡大する。全長が165mm延びた恩恵は荷室よりも後席に集中しており、レッグスペースが50mm、頭上スペースが68mm広がっている。
ボディカラーは4色。緑系の新色ヴェール・アストリアのほか、ルージュ・ルビ、ブラン・オケニトゥ、ノアール・ぺルラネラが設定される。
スペック・価格
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4,655 × 1,905 × 1,710mm |
| ホイールベース | 2,790mm |
| 車両重量 | 1,630kg |
| エンジン | 1.2L 直列3気筒ガソリンターボ(1,199cc) |
| 最高出力 | 100kW(136ps)/ 5,500rpm |
| 最大トルク | 230Nm / 1,750rpm |
| ハイブリッド | 48Vマイルドハイブリッド |
| モーター最高出力 | 15kW / 4,264rpm |
| 変速機 | 6速デュアルクラッチ |
| 駆動方式 | 前輪駆動 |
| WLTCモード燃費 | 19.4km/L |
| タイヤ | 225/55 R19 |
| 荷室容量 | 565L |
| 価格(税込) | PLUS: 535万円 / MAX: 570万円 |
シトロエンが液圧サスペンションを量産車に初めて搭載したのは、1955年に発売した「DS」まで遡る。DSという名はフランス語で「女神」を意味するDéesse(デエス)と同じ発音になる。液圧で車高を自動調整し、路面の凹凸を問わず水平な姿勢を保つサスペンションを持っていた。当時の自動車技術の常識を70年近く先取りしたと言われる革新的な設計だ。今日のPHCは液圧で衝撃を吸収するという同じ哲学の上に立っている。ブランドが半世紀以上にわたって乗り心地を競争軸に選び続けてきたことが、この一本の系譜に表れている。
新型シトロエン C5 AIRCROSS の燃費は何km/Lか
WLTCモードで19.4km/Lだ。内訳は市街地モード(WLTC-L)が15.8km/L、郊外モード(WLTC-M)が21.1km/L、高速道路モード(WLTC-H)が20.2km/Lとなっている。48Vマイルドハイブリッドが市街地走行の最大50%でエンジンを停止させることで、同クラスのガソリン欧州SUVより高い燃費を実現している。
新型 C5 AIRCROSS の価格はいくらか
PLUSグレードが535万円、MAXグレードが570万円(いずれも税込)だ。前モデルの発売時は523万円からだったため、ベースグレードで約12万円の価格上昇となっている。
PHCサスペンションとはどんな技術か
PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)は、サスペンションが大きく動いたときに液圧ピストンが段階的に衝撃を吸収する技術だ。一般的な硬いゴムのバンプストップと異なり、路面の凹凸による突き上げ感をなだらかに抑える。シトロエンが長年採用してきた乗り心地の核心技術で、新型 C5 AIRCROSSにも引き継がれている。


