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トヨタ・スターレット 南アフリカで復活の理由とスズキとの関係
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トヨタ・スターレット 南アフリカで復活の理由とスズキとの関係

1999年に日本で姿を消したトヨタ・スターレットの名は、2020年から南アフリカで新たな車として走り続けている。その正体はスズキ・バレーノのOEM車で、2019年のトヨタ・スズキ資本提携が生んだ最初の車種だった。歴代スターレットの系譜と、現行モデルの技術的な裏付けまでを整理する。

「スターレット」と聞いて、懐かしさを覚える読者は少なくないはずだ。1990年代まで街を走っていたトヨタの小型ハッチバックは、1999年に姿を消し、後継のヴィッツにその役目を譲った。ところがこの車名は、日本を離れた場所で今も現役だ。南アフリカの道路を走るトヨタ・スターレットは、かつての国内仕様とは中身がまったく違う一台だが、確かに「スターレット」を名乗っている。

現行トヨタ・スターレット(南アフリカ仕様)の外観
出典: Toyota South Africa

スターレットは日本でどんなクルマだったか

スターレットの起点は、1973年4月11日に発売された「パブリカスターレット」だ。パブリカ・シリーズの上級版として企画された、若年層向けのスポーティなファストバッククーペで、型式は1000ccのKP45と1200ccのKP47の2本立てだった。発売当初は内外装やエンジン仕様を選べる「フリーチョイス・システム」を採用し、同年10月には4ドアセダンも追加されている。ドア前部から下降したベルトラインがリヤクォーターウィンドウでキックアップし、リヤウィンドウ下部へ回り込む造形は、当時としては個性的な仕上がりだった。

1978年2月3日には「パブリカ」と「パブリカスターレット」が統合され、独立した車名としてのスターレットが誕生する。2代目にあたるE-KP61型は後輪駆動を採用し、1290ccの4K-U型エンジンは72PS(5,600rpm)を発生した。軽量なボディと素直なシャシーバランスにより、経済性と軽快な走りを両立させたモデルとして人気を集めている。

1984年10月1日発売の3代目EP71型では、駆動方式を前輪駆動へ転換し、新開発の2E型エンジンを搭載した。1986年1月にはターボ仕様「GPターボ」が追加され、標準モードで105PSを発生している。1989年12月19日には1300ccのE-EP82系と1500ccのNP80系からなる4代目が登場し、基本グレードは82PS、最上位グレードのGTはターボ付きEFIで135馬力まで引き上げられた。

1996年1月6日に発売された5代目EP91型が、日本国内向けとしては最後のスターレットになった。全車に運転席SRSエアバッグとABSを標準装備した最終進化形だったが、1999年8月にヴィッツへ1.3L車が追加されたことに伴い生産を終える。パブリカスターレットから数えて26年、独立車名としては21年の歴史に幕を下ろした。

日本国内向け最終モデル、5代目スターレット(EP91型)
出典: トヨタ自動車

なぜ南アフリカで名前が復活したのか

スターレットの名前が再び動き出すきっかけは、2019年8月28日にトヨタとスズキが発表した資本提携だった。トヨタがスズキの普通株式2,400万株、所有割合にして4.94%、総額960億円を取得し、スズキも市場買付でトヨタ株式480億円相当を取得する内容で、トヨタの電動化技術とスズキの小型車技術を持ち寄る商品補完が柱に据えられている。

この提携から最初に生まれた製品が、2020年9月に南アフリカで発売された新型スターレットだ。トヨタ南アフリカは発売にあたり、トヨタとスズキの協業から生まれた最初のクルマだと紹介し、この名前は1973年に遡り、日本国内市場の小型ハッチバックとして5世代、1999年まで使われてきたと説明している。コンパクトで効率的、価格重視という往年のスターレットの精神に忠実であるとして、あえてこの車名を選んだという。

南アフリカのサブBセグメントは乗用車販売の中でも大きな割合を占める激戦区だ。

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新型スターレットは、それまでこの区分を担っていたエティオスの後継として投入された。エティオスは平均22%のシェアを持つ人気モデルであり、その実績を引き継ぐ形での世代交代だった。グレード構成はXi・Xs・Xrの3段階とし、5速MTと4速ATを組み合わせた計5バリエーションで展開している。ABS、EBD、ブレーキアシスト、VSCといった電子制御の安全装備を全グレードに標準搭載し、上位のXrにはスマートエントリーとプッシュスタート、クルーズコントロールも用意された。

2020年に南アフリカで発売された初代(南ア仕様)スターレット
出典: Toyota South Africa

現行スターレットの正体とスズキとの関係

南アフリカ仕様の初代として2020年9月に登場したモデルは、高張力鋼板とエネルギー吸収構造を組み合わせたスズキの車体設計「TECTプラットフォーム」を土台に、1.4L直列4気筒DOHCエンジンを搭載していた。可変バルブタイミングを備え、68kW(6,000rpm)、130Nm(4,200rpm)を発生し、燃費は5.1〜5.4L/100km、km/Lに換算するとおよそ18.5〜19.6km/L相当だった。価格はR273,700からのスタートだ。

2022年6月7日のマイナーチェンジでは、エンジンが1.4Lから1.5Lへと拡大された。姉妹車「アーバンクルーザー」と共通のユニットに換装し、出力は77kW、トルクは138Nmへと引き上げられている。この1.5Lユニットは現行モデルにも受け継がれ、燃費は5.4〜5.7L/100km、km/Lに換算するとおよそ17.5〜18.5km/L相当だ。価格はXrグレードでMTがR313,800、ATがR334,200から(1ランド=9.5円前後の概算で約298万円、約317万円)となっている。

トヨタ自身も、南アフリカでの販売を担う豊田通商も、供給元を「スズキ」とだけ公表し、車名までは明かしていない。しかし豊田通商が公開した現地仕様のエンジン形式は「K14B」で、排気量・出力・トルクの数値は、スズキ・バレーノの公式諸元と寸分違わず一致する。現行スターレットの正体は、スズキ・バレーノのOEM車だ。同じ車体はインド市場では「トヨタ・グランザ」の名前でも販売されており、1台の車体が地域ごとに複数のブランド・車名をまとう手法が広がっている。

現行モデルには4回・60,000kmのサービスプランと3年・100,000kmの保証が付帯する。2020年の導入当初から続くオーナーサポートの手厚さも、旧エティオスから引き継いだ強みのひとつだ。

南アフリカ仕様の現行スターレットの変遷をまとめると、次のようになる。

現行トヨタ・スターレット(南アフリカ仕様)の別アングル
出典: Toyota South Africa

車名が背負う、もうひとつの人生

日本で終売した車名が海外で生き続ける例は、スターレットだけではない。トヨタ・オーリスは2018年3月に日本での販売を終えたが、台湾では今も「オーリス」の名前のまま販売が続いている。ただしこちらは同一モデルの名称が存続しているケースで、車体そのものを引き継いでいるにすぎない。

一方のスターレットは、まったく別の車体に古い車名を移植するという、より珍しい復活を遂げた。かつて軽快な走りと経済性を武器にしていた車名が、スズキの技術を土台にした新しい車体の中で、コンパクトで価値重視という同じ性格を与えられている。

その定着ぶりを物語るのが、2024年7月24日に南アフリカで追加されたクロスオーバー派生「スターレット クロス」の存在だ。ハッチバック版と共通の1.5Lエンジンを積み、77kW・138Nmを発生しながら、コンパクトカー区分で「ヴィッツ・スターレット・アーバンクルーザー」と肩を並べる一台に育っている。全長・全幅・全高・ホイールベースの4つの数値は、スズキのクロスオーバー「フロンクス」の公式諸元とすべて一致しており、スターレット クロスの正体もフロンクスのOEM車だ。ハッチバック版がバレーノを土台にしたのと同じ手法が、クロスオーバーにも適用されている。1台の復活車名が、わずか数年で兄弟モデルを持つまでに定着した。

トヨタ・スターレット クロスの外観
出典: Toyota South Africa

車名は、車体が失われても消えるわけではない。トヨタとスズキという競合関係にあった2社が手を組んだことで、日本の記憶の中にしか残っていなかったはずの名前が、遠く離れた市場で走り続けている。

南アフリカの新型スターレットは、旧モデルのエティオスが持っていたサブBセグメント平均22%のシェアを引き継ぐ形で投入された。同じ車体はインド市場で「トヨタ・グランザ」の名前でも販売されており、1つの車体が地域ごとに異なる車名をまとう体制がトヨタとスズキの間で広がっている。

トヨタ・スターレットはいつ生産終了したのか

日本国内向けの5代目EP91型は、1999年8月にヴィッツへ1.3L車が追加されたことに伴い生産を終えた。1973年のパブリカスターレットから数えて26年、独立車名としては21年の歴史だった。

現行のスターレットはどこの国で買えるのか

現行スターレットは2020年9月に南アフリカで発売され、アフリカの市場で販売されている。同じ車体はインド市場で「トヨタ・グランザ」の名前でも展開されている。

現行スターレットのベースになった車は何か

現行スターレットは、スズキ・バレーノのOEM車だ。トヨタ・豊田通商は供給元を「スズキ」とだけ公表しているが、公式諸元のエンジン形式「K14B」・出力・トルクの数値はバレーノと完全に一致する。2019年のトヨタ・スズキ提携から生まれた最初の車種でもある。

スターレット クロスとはどんなクルマか

2024年7月24日に南アフリカで追加されたクロスオーバー派生モデルだ。ハッチバック版スターレットと共通の1.5Lエンジンを積み、コンパクトカー区分でヴィッツやアーバンクルーザーと並ぶラインナップを形成している。車体寸法はスズキ・フロンクスの公式諸元と一致しており、フロンクスのOEM車である。

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執筆
ROADECT編集部
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