ハリアー一部改良でハイブリッド一本化 現行4代目6年の歩み
2026年8月3日発売のハリアー一部改良は、パワートレーンのハイブリッド一本化という大きな転換点だった。2020年6月登場の現行4代目が、ガソリン車・PHEV車を経てハイブリッド専売へと至った6年間の歩みと、最新グレード・価格構成を一挙に解説する。
トヨタは2026年8月3日、SUV「ハリアー」を一部改良して発売した。今回の柱は外装の化粧直しではなく、パワートレーンをハイブリッドに一本化したことにある。2020年6月に登場した現行4代目は、この6年でガソリン車やプラグインハイブリッド車を加えながら育ち、そして今、ハイブリッド一本に絞り込むという選択をした。「感性に響くかどうか」を開発の軸に据えたクルマが、6年をかけてどこを磨き、どこを絞り込んできたのかをたどる。
ハリアー一部改良の中身、ブラック基調の特別仕様車に
今回の一部改良でまず目を引くのは、最大1,500Wの外部給電に対応するアクセサリーコンセントが全車標準装備になったことだ。非常時給電システムと外部給電アタッチメントを備え、ラゲージルーム右側に1個備わる。メーカーオプションでスペアタイヤを選んだ場合は非装着となる。
もうひとつの柱が、特別仕様車Z"Leather Package・Night Shade"とZ"Night Shade"の刷新だ。ブラック塗装のホイールナット、漆黒メッキのフロントバンパーアッパーモール、艶あり黒塗装のフロントミッドグリル、ブラックメッキのマフラーカッター、ブラックエクステンションのLEDリヤコンビネーションランプなど、外装の随所に新しいブラックパーツが加えられ、特別仕様車としての存在感がより濃くなった。ドアウインドゥフレームモールディングやドアベルトモールディング、クォーターウインドゥモールディングもステンレス地からブラックへと切り替わり、ドアミラーのサイドターンランプ部やアウトサイドドアハンドルにも黒の加飾が及んでいる。フロントからリヤまで一貫してブラックで統一する手の入れ方は、外装をパーツ単位で丁寧に磨き込むトヨタの一部改良らしいアプローチだ。
パワートレーンをハイブリッドに一本化
トヨタは今回の改良について「パワートレーンをHEVに一本化」と公式に発表している。現行の主要諸元表・グレード比較表・WEBカタログのいずれを見ても、掲載されているのはハイブリッド車のみだ。グレード検索の絞り込み画面でも、パワーユニットの選択肢は「特別仕様車」と「ハイブリッド」の2つしかなく、ガソリン専用グレードやプラグインハイブリッド車の設定は見当たらない。
もっとも、ハリアーが最初からハイブリッド専売だったわけではない。2022年9月の一部改良では、Sグレードのガソリン車、G・Zグレードのハイブリッド車に加えて、Zグレードにプラグインハイブリッドシステムを積んだPHEV車が新たに設定されていた。当時の価格帯は312.8万円からPHEV車の620万円まで幅広く、駆動用リチウムイオンバッテリーを積んだPHEV車はフロントモーターの最高出力182PS、システム最高出力306PSという、走りの性能を重視したグレードだった。
現行のハイブリッドシステムは、2.5L直列4気筒エンジンが178PS、フロントモーターが120PSを発生し、E-Four仕様ではリヤモーターが54PSを加える。WLTCモード燃費は2WDで22.4から22.7km/L、E-Fourで21.7から22.0km/Lとなり、同クラスのミッドサイズSUVの中でも扱いやすい数値に収まっている。
現行4代目ハリアーとは 感性を追求したSUV
現行4代目、型式でいうAXUH80型(2WD)・AXUH85型(E-Four)のハリアーは、2020年6月17日に発売された。発売から約1ヶ月後の7月16日時点で約45,000台の注文を集め、これは月販目標だった3,100台を大きく超える受注だったという。
トヨタが開発時に最も重視したのは「感性に響くかどうか」だったと説明している。数値で測れる性能だけでなく、乗る人の感覚に訴えるクルマを目指したという開発思想は、「物語は、新しくつづく。」というキャッチコピーにも表れている。ボディにはTNGA(Toyota New Global Architecture)を基本に、超高張力鋼板や高張力鋼板、アルミ材を積極的に採用した軽量高剛性構造を採用し、フロントにマクファーソンストラット式、リヤにダブルウィッシュボーン式のサスペンションを組み合わせて、重厚感と上質な乗り心地を狙っている。搭載されるハイブリッドシステムのエンジンは「2.5Lダイナミックフォースエンジン」と呼ばれ、外観では2本のL字ライン発光を採用したプロジェクター式LEDヘッドランプが、精悍な目元の印象を強めている。
安全装備では、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備する。前方の車両や歩行者を検知して衝突を回避・軽減するプリクラッシュセーフティ、高速道路でのクルージングを助けるレーントレーシングアシスト、車線からのはみ出しを警告するレーンディパーチャーアラート、全車速域で先行車に追従できるレーダークルーズコントロールなどがそろい、ドライバーの負担を減らす方向でまとまっている。
なぜ今、ハイブリッドへ絞り込むのか
今回のパワートレーン整理の狙いをトヨタは明言していないが、市場環境から推測することはできる。ミッドサイズSUVの市場では、燃費と航続距離のバランスに優れたハイブリッド車への支持が年々厚くなっており、充電インフラを必要とするPHEVは限られた顧客層に向けたニッチな選択肢になりやすい。ガソリン専用グレードも、電動化が前提になりつつある市場の中では相対的に存在感を弱めていたと考えられる。
同じトヨタのミッドサイズSUVでも、6代目RAV4はガソリン車を廃止しつつ、ハイブリッドとPHEVの両方を残す道を選んでいる。ハリアーがPHEVまで含めてハイブリッドに絞り込んだのとは対照的だ。
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車種ごとに異なる着地点を選びながらパワートレーンの選択肢を整理していく姿勢は、トヨタが車種の性格に応じて電動化の進め方を使い分けようとしていることの表れとも読める。ハリアーでグレードを一本化することは、開発・生産リソースをハイブリッドシステムの熟成に集中させることにもつながる。選べる動力の種類は減ったものの、その分だけハイブリッドとしての完成度に磨きをかけたとも読める改良だ。
6年間の改良の軌跡、PHEV追加から一本化まで
現行4代目は2020年の発売以降、数年おきに一部改良を重ねてきた。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2020年6月 | 4代目(AXUH80/85型)発売 |
| 2022年9月 | PHEV車を新設定。Toyota Safety Senseを全車標準装備 |
| 2025年6月 | 一部改良。特別仕様車Z"Leather Package・Night Shade"を新設定 |
| 2026年8月 | 一部改良。パワートレーンをハイブリッドに一本化 |
2022年9月の改良では、プリクラッシュセーフティをはじめとする予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全車標準装備となり、12.3インチの大画面ディスプレイオーディオやコネクティッドナビも採用された。2025年6月の改良では、Z"Leather Package・Night Shade"を新設定するとともに、交差点での右折時に対向車や横断歩行者を検知する機能が加わるなど、安全装備の充実が続いている。こうして見ると、ハリアーの一部改良は毎回どこか一点に主眼を置きながら、安全装備だけは途切れずに底上げされてきたことがわかる。
ハリアーという名前が背負う歴史はさらに長い。初代は1997年12月に発売されており、現行4代目はそこから数えて約29年目の系譜にあたる。初代は、それまでのSUVが持っていた無骨さと、乗用車としての上質さを両立させる存在として登場し、以降のモデルもその路線を引き継いできた。4代目の「感性に響くかどうか」という開発思想も、この29年間で積み重ねてきたブランドの個性の延長線上にある。
価格とグレード、現行ラインナップ
2026年8月の一部改良後、ハリアーは5グレード、駆動方式は2WDとE-Fourの2種類、合わせて10バリエーションで構成される。
| グレード | 2WD | E-Four |
|---|---|---|
| G | 439.67万円 | 461.67万円 |
| Z | 486.64万円 | 508.64万円 |
| Z"Leather Package" | 518.65万円 | 540.65万円 |
| Z"Night Shade" | 502.15万円 | 524.15万円 |
| Z"Leather Package・Night Shade" | 534.16万円 | 556.16万円 |
すべてのグレードが2.5Lエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、WLTCモード燃費は21.7から22.7km/Lの範囲に収まる。エントリーのGグレードから最上級のZ"Leather Package・Night Shade"まで、価格差は約116万円にとどまり、パワートレーンの違いではなく、内外装の質感とデザインの違いで選べる構成になっている。かつてのようにガソリン車、ハイブリッド車、PHEV車の間で燃費や価格を見比べる必要がなくなった分、購入を検討する側にとってはグレード選びがシンプルになったともいえる。
ハリアーは、1997年の初代から2003年発売の2代目まで、海外では車体を共有する姉妹車としてレクサスRXの名前で販売されていた。しかし2009年にレクサスRXが日本でも独自に発売されたのを機に両車は分岐し、2013年発売の3代目からハリアーはレクサスRXとは別モデルとして展開されている。
ハリアーは何代目のモデルか
現行モデルは1997年12月に発売された初代から数えて4代目にあたる。2020年6月17日に発売されたAXUH80型・AXUH85型で、型式にちなんで80系とも呼ばれる。
ハリアーはなぜガソリン車がなくなったのか
2026年8月の一部改良で、トヨタはパワートレーンをハイブリッドに一本化したと発表した。ガソリン車やプラグインハイブリッド車が正確にいつ整理されたかは公式に明言されていないが、現行の主要諸元表・グレード比較表にはハイブリッド車のみが掲載されている。
現行ハリアーの価格帯はいくらか
2026年8月の一部改良後は、Gグレード2WDの439.67万円からZ"Leather Package・Night Shade"のE-Fourの556.16万円まで、5グレード10バリエーションが用意されている。




